海上保安レポート2003
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コラム


がんばれ カール!!

 海上保安庁では、最も重要な仕事の一つとして、薬物・銃器の密輸入の取締りに一生懸命取り組んでいます。

神戸港や大阪港などの大きな港を抱え、外国船の通過が多い海域を管轄する第五管区海上保安本部の各部署でも日々行っている外国船の検査などで猫の手も借りたい程の忙しさです。

 そんな中、小松島海上保安部(所在地:徳島県小松島市)に平成13年7月、強い味方が現れました。

 猫の手ならぬ、「犬の手」が借りられることになったのです。

 その犬の名は、「カール」(雄 当時生後2カ月)。同じ徳島県に住む吉岡仁志さんが約25年の警察犬養成の経験を生かし、船内に隠された薬物や銃器を探し出せるよう訓練してくれることになったのです。

 空港などでは、麻薬探知犬が活躍していますが、船舶は空港などと違い、船員の職場と居住空間が一体となっていることから、油、塗料といった刺激の強い臭いや、積荷の臭い、衣食住に伴う臭いなど様々な臭いが存在します。いかに嗅覚の優れた犬といえども、こうした船舶内で極微量の薬物や銃器(硝煙)などの臭いを嗅ぎ分けるのは大変困難であり、これを克服するための訓練は、並大抵ではありませんでした。

 平成14年12月24日、ついにカールの初出動の日が来ました。対象船は、マレーシアから来た、紙の原料などに使用される「木くず」を積んだ約6,000トンのパナマ籍船。

 カールは、ガタガタ揺れて報道関係者が尻込みするような乗船タラップを鳴き声も出さずに上がり、対象船の上で飼われている番犬とも「いさかい」を起こすこともありませんでした。

 カメラ写りが気になる中で、約40分にわたる居住区の通路と機関室での探知活動は、無事終了。初めての出動であったことや報道関係者に囲まれた中での活動ということを勘案すると及第点をあげられる出来でした。……薬物や銃器の水際摘発のため、がんばれカール!!

探知活動のカール
探知活動のカール

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