海上保安レポート2003
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グローバル化する業務ニーズに対応するために


国際化への対応

 近年、我が国における海外からの薬物流入による若年層への薬物汚染の拡大や、海外起源の漂流ごみの増大といった、国際的に解決しなければならない問題が深刻化しています。これまで紹介した中でも、密輸や密航などの国際組織犯罪や地球規模での環境問題など、一国では対応しきれない問題が山積みしています。

 海上保安庁では、近隣諸国の海上保安機関との連携・協力体制をより一層強化することで、複雑・多様化する国際情勢にも的確に対応できる体制作りに取り組んでいきます。

1 北太平洋地域海上保安機関長官級会合の開催について

 近年における経済活動のグローバル化の負の側面として、薬物・銃器の不法取引、密航、海賊事件の発生など、犯罪の国際化・広域化が大きな問題となっています。このような多国間にまたがる国際犯罪には、地域全体で取り組まなければその効果が期待できません。このため海上保安庁では、北西太平洋諸国の海上警備機関の間の連携協力関係を構築するために関係各国に呼びかけて、平成12年12月に「北西太平洋地域海上警備機関長官級会合」を開催しました。同会合はその後、参加国を拡大して「北太平洋地域海上保安機関長官級会合」(日本、韓国、米国、カナダ、ロシア、中国*1)に名称を変更し、平成14年7月、ハワイにおいて第3回会合を開催するに至りました。

 この第3回会合においては、平成13年9月に発生した米国同時多発テロを受けて、テロ行為の予防やテロが発生した場合の迅速な対応が、国際的にますます重要となってきたことを踏まえ、テロやその他の海上安全を脅かす不法行為に対し、より一層協力して対処することを確認する「乗客・乗員の安全及び船舶の航行安全に脅威を与えるテロ行為についての共同宣言」を採択しました。この共同宣言により、北太平洋地域の海上保安機関は法執行、情報共有などの分野で連携を深めることとしています。

 さらに海上保安庁は、東南アジア諸国との海賊対策訓練や2002年ワールドカップサッカー大会開催時に韓国と共同で実施した日韓航路フェリーに対する警備の経験を生かし、この会合で新たに設置された「海上セキュリティー作業部会」の議長国を務めるなど、各参加機関が共同して取り組むテロ対策を主導的な立場で推進しています。

北太平洋地域海上保安機関長官会合
北太平洋地域海上保安機関長官会合

北太平洋地域海上保安機関長官会合

*1 中国はオブザーバー参加
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