海上保安レポート2003
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コラム


受賞者の声(1)

 宮城利府掖済会病院の看護師、佐藤とし子様は、長年に渡り病気や怪我で救いを求める船員に対して、航空機や巡視船で現場に急行し、献身的な洋上救急を実施してきました。

 その功績をたたえ、平成14年7月20日(海の日)、海上保安庁長官から感謝状が贈呈されました。

 佐藤様からご感想を伺うことができましたので、その声をここに掲載いたします。

受賞の感想をお聞かせ下さい

 私は、掖済会病院に勤めて満18年目になります。その間、洋上救急に3回出動し、表彰されました。人命の救助をできた時の喜びと、達成感はとても大きく今後洋上救急の出動があった時は、快くお引き受けしたいと思っています。

苦労されたことは?

 一番大変だったのは、言葉だったと思います。

 インドネシア国籍の甲板員の方が、急性虫垂炎とのことで洋上救急の要請があり出動した時です。日本語があいさつ程度、英語が半分、インドネシア語が半分という状況でした。現在どのような状況なのか、どこが痛いのか、はっきり聞き取れず身振り手振りで状態を確認しながら看護をしました。

 もっとたくさんの英語を勉強しておけば良かったと思い、言葉の通じない患者さんの不安な気持ちと心細い気持ちが伝わってきました。自分の事、家族の事、今後の事など片言の会話でコミュニケーションをとりながら、ヘリコプターに乗り換え病院に収容しました。病院について安心したのか、ホッとした顔をして喜んでいました。

それを見たとき、胸がいっぱいになり、人命を救助できた時の喜びと達成感はとても大きく、やりがいのある仕事を選んで良かったと思いました。

タンカで運ばれる急患

船上での救助活動

洋上救急と陸上救急との違いや気をつけているところは何ですか?

 洋上での急患は、連絡を受けてから、現場までの到達時間にかなりの時間を要し、症状の悪化、もしくは死亡している例もあります。その点から、洋上の急患は、いかに早く搬送をするかという事が、最大のポイントであり、時間との闘いになります。巡視船、ヘリコプターを乗り継ぎ、直接医師・看護師に現場に飛んでもらい応急手当を行い症状にあった病院へ収容し適切な治療を、迅速に行う事だと思います。

 また、現場が常に私たちにはなれていない洋上であるため、出動する時の心の準備と荒天時(うねりの高いとき)には、船の揺れに、自分の身の揺れも十分配慮しつつ、応急手当をしなければならない点です。

 洋上で働く方々が病気やケガをして、歯を食いしばって生き抜いて治療を待っている姿を見る時、改めて海の男のたくましさを、感じました。いかに安全に早く急患の方を、搬送できるか、今後の大きな課題であると思いました。

 陸上救急の場合は、救急隊員によって患者さんの状態を適切に判断し、直ちに適切な処置を開始する、その場所において患者さんを安定化させ、症状にあった病院に早期に搬送できる事だと思います。

海上保安庁へのメッセージ

 責任感を持って、仕事に励む事はとても素晴らしい事だと思います。

 しかし、無理をせずケガをせず、海の安全と人命の救助に今後もご活躍下さい。

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