コラム
離島の命をつなげ(急患輸送)
石垣航空基地(所在地:沖縄県石垣市)では、沖縄県の八重山・宮古諸島の離島で発生した救急患者の輸送業務も担当しています。離島の中には必ずしも十分な医療設備が整っていない島もあり、離島に住む人々にとってはまさに命の綱となっています。患者は日夜天候を問わず発生するので、基地では24時間365日いつでも対応できる体制をとっています。昭和47年3月5日に第1件目の輸送を実施して以来、平成14年12月31日までに計1,770件1,818人の輸送を実施しました。
この救急患者輸送業務は、最初、沖縄県本土復帰直前の昭和47年2月4日、石垣基地の現敷地に「琉球政府厚生局石垣医療航空事務所」が開設され、ここに海上保安庁の職員が派遣されるという形で始まりました。そして同事務所は同じ年に、沖縄の本土復帰とともに海上保安庁の石垣航空基地として再出発。輸送業務は、沖縄県からの要請により、石垣航空基地が引き継いで現在に至っています。
急患の発生状況の内訳は、外傷によるものが約25%と最も多く、ついで脳卒中や消化器官等の疾患となっていますが、なかにはハブに咬まれたものやお産もあります。特にお産については、これまで3名の新しい生命が機内で誕生しました。また、最近では、住民だけでなく旅行者が全体の約15%を占めるようになっており、八重山諸島の最大産業である観光にも貢献していると自負しています。
最近は、離島の飛行場やヘリポートにも次第に夜間照明等の設備が整備されてきましたが、まだ十分な整備がなされていないところもあり、夜間や天候不良時の厳しい状況下での飛行には高度な技術が必要です。しかし、乗組員や職員の努力により、これまで1件の事故もなく、平成14年9月30日には1,800人の無事故輸送を達成することができました。これからも住民や八重山を訪れる多くの観光客の信頼に応えていけるよう頑張ります。
急患輸送の様子
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