海上保安レポート2003
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治安を守るために


1 九州南西海域における工作船事件の捜査

 海上保安庁では、平成13年12月22日に発生した九州南西海域における工作船事件について、事件直後より、海上保安官に対する殺人未遂罪及び漁業法の立入検査忌避罪の容疑で捜査を実施しました。

 この捜査の過程において、相次ぐ台風の来襲など、厳しい自然条件下で平成14年9月11日に水深90mを超える海底から船体を引揚げ、泥類や腐敗物が堆積した船内において手作業で武器類や自爆装置の安全化を行いました。その結果、工作母船に加えて、武器類、子舟、水中スクーター、ゴムボート、無線機類、携帯電話といった数多くの重要証拠物の回収に成功しました。その後、長期間にわたり海水に浸かった合計1,032点にも及ぶ証拠物の捜査を行いました。このように数多くの困難に直面しましたが、警察、防衛庁等の政府関係機関、民間サルベージ会社や証拠物のメーカーなど、様々な関係者の協力を得ながら、組織の全力を傾注して事件の全容解明に努めました。

 海上保安庁ではこの船舶が「北朝鮮の工作船」であると特定するとともに、覚せい剤等の薬物の密輸や、工作員の不法入国等の重大犯罪に係わっていた疑いが濃いこと、国内に協力者が居る可能性があることを明らかにしました。

 平成15年3月14日には、工作船の乗組員10名(全員死亡)について海上保安官に対する殺人未遂罪及び漁業法の立入検査忌避罪の容疑で鹿児島地方検察庁に送致しました。

工作船の引揚げ
工作船の引揚げ

引き揚げられた武器
引き揚げられた武器

水中スクーター
水中スクーター

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