長官からのメッセージ
平成14年9月11日、この日は奇しくも米国同時多発テロが発生してから1年を迎えた日であるとともに、海上保安庁にとって、さらに我が国としても大きなインパクトを与える日となりました。幾度となく来襲した台風に阻まれながらも、水深90mを超える海底から、「工作船」を引き揚げたのがこの日です。
九州南西海域における工作船事件は、我が国周辺をこのような武装した犯罪供用船舶が徘徊しているという事実とともに、海上保安庁が我が国の国境の最前線で、犯罪の流入を阻止し、国民を犯罪の脅威から守るという重大な任務を負っていることを多くの方に理解していただく契機になったものと思います。
また、世界的なテロ事件の発生を見ても、テロという脅威から我が国もその対象の例外ではありません。いつ発生するかわからない脅威に対して、米軍基地や原子力発電所など臨海部の警戒を行うことにより、国民の方々に安心して生活していただくことも海上保安庁にとって重要な業務です。
このほかにも、海難救助、環境防災、船舶交通などの幅広い業務に約12,000名の海上保安官が昼夜を問わず現場の最前線で活動しています。
今回のレポートでは、国境を守るという我が国の基本を支える業務と、国民生活の基盤とも言うべき船舶交通に関する業務を特集として取り上げました。特に工作船事件については、まさに海上保安官の努力の積み重ねとも言うべきこれまでの捜査結果を詳細に記述しております。また、海を中心に活動しているため、国民の方々がその姿を目の当たりにすることの少ない海上保安庁の活動をわかりやすく説明するという観点で全体をまとめております。
このレポートにより、海上保安官一人一人が国民の生活をより良いものにするため、努力を続けていることを理解していただけるものと自負しております。今後とも海上保安庁にご期待ください。
海上保安庁長官
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