海上保安レポート2003
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安心できる暮らしと環境を守るために


事故災害対策

5 今後の取組み

(1)排出油防除対策の強化

 海上保安庁では、排出油防除のための資機材の充実、事故発生時における原因者等防除措置の実施者への指導及び助言を行っています。さらに原因者側の対応が不十分な場合には、海上保安庁自らが排出油の防除等を行い、被害を最小限にする措置を図ります。

 また、平成7年のOPRC条約*1の発効の際に設置された「油汚染事件に対する準備及び対応に関する関係省庁連絡会議」(事務局 海上保安庁)等を通じて、関係機関が一体となって油流出事故に対処するなど引き続き関係省庁の連携強化に努めます。

(2)多国間協力体制の構築

 大規模な油排出事故が発生した場合、その影響は一国のみならず複数の国に様々な影響を及ぼすことがあるため、引き続き関係国による連携した事故対応が必要になります。

 特にフィリピン・インドネシア周辺海域は、中東から日本への主要なタンカールートであるため、この海域で大規模な油排出事故が発生した場合、周辺海域に被害を及ぼすばかりでなく、タンカーの航行そのものが難しくなって日本のエネルギー確保に多大な影響を及ぼすことも考えられます。

 このため海上保安庁では、平成15年3月にフィリピンのスービック沖において、日本・フィリピン・インドネシア三国合同流出油防除総合訓練を実施し、油排出事故が発生した際に関係国が連携して円滑な対応を行うための体制構築に努めました。

 なお、この日本・フィリピン・インドネシア三国合同流出油防除総合訓練は、今回で平成7年以降5回目の実施になります。

(3)消防体制の強化

 原油、LNG*2等の危険物を積載した大型タンカーに対して、海上交通安全法指定航路通航時の消防能力を有した船舶の配備の指示及び荷役中における一定の消防能力の確保についての指導等を行い、引き続き海上消防体制の確保を行います。

 また、現在計画されているLNGの内航輸送については、国内初の船舶による二次輸送であり、ふくそう海域である瀬戸内海の航行が予定されていることから、火災が発生した場合に備え、主要航路となる部署の職員に対し消防研修を実施しています。

(4)原子力災害の防災対策

 原子力災害発生時には、救助・救急活動、モニタリングの支援などを行うこととしており、これらの業務を的確に実施するため、専門機関における研修の実施、放射線測定器等の整備、関係行政機関や事業者との連携の強化等を行います。

(5)海上災害防止センターの独立行政法人化

 平成14年12月、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律を改正し、認可法人である海上災害防止センターを平成15年10月から独立行政法人海上災害防止センターとし、官民の合理的な油防除体制を推進していきます。

*1 OPRC条約(International Convention on Oil Pollution Preparedness,Response and Co-operation,1990) 油による汚染に関わる準備、対応及び協力に関する国際条約
大規模油流出事故に対応するための国際協力体制の確立等を目的とした国際条約

*2 LNG(Liquefied Natural Gas) 液化天然ガス
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