治安を維持するために
海賊対策
「海賊」というと、小説などのイメージから「ロマン」を感じる方がいらっしゃるかも知れません。しかし、実際は違います。金を得るためには平気で人を殺してしまう者もいます。我が国周辺海域で海賊が多発するという状況にはありませんが、我が国の海上貿易における輸入量の半分以上は海賊の頻発する東南アジア海域を通って来るため、この極悪卑劣な海賊行為は私たちの生活に少なからず影響を与えます。決して他人事ではありません。そのため、海上保安庁では東南アジア諸国などと協力して海賊対策に取り組んでいます。
1 海賊問題の現状
IMB(国際商業会議所)に報告された平成14年の全世界の海賊及び船舶に対する武装強盗*1(以下、「海賊」という。)の発生件数は370件と、平成13年の335件から35件、約10%増加しました。
発生件数を海域別にみると、インドネシアが103件(28%)と最も多く、次いでバングラデシュ32件(8%)、インド18件(5%)、マラッカ海峡16件(4%)となっており、全体の60%がアジア海域で発生しています。
特に、ハイジャック型の海賊の発生件数は、平成13年の16件から25件に増加し、平成12年の8件から2年連続して大幅に増加する深刻な状況となっています。ハイジャック型の海賊の発生件数を海域別にみると、マラッカ海峡9件(36%)、インドネシア7件(28%)、マレーシア3件(12%)、タイ1件(4%)、台湾1件(4%)となっており、全体の84%がアジア海域で発生しています。
海賊の発生件数(全世界)
(注)IMB(国際商業会議所国際海事局)資料による
平成14年海賊事件発生海域別
(注)IMB(国際商業会議所国際海事局)資料による
*1 海賊とは国連海洋法条約第101条において定義されている公海上の不法行為のことをいい、また、船舶に対する武装強盗とは沿岸国の司法管轄内における船舶、又は船舶内にある人、若しくは財産に対する不法な暴力行為、抑留、略奪行為、又はそれらに係る脅迫のことをいう。
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