海上保安レポート2003
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治安を維持するために


国内密漁対策

2 平成14年の状況

 平成14年の密漁事犯の送致件数は、1,046件で、前年の1,019件と比べて27件増加しました。

密漁事件送致件数の推移
密漁事件送致件数の推移

 平成14年には、地域のニーズに応じて、水産庁や都道府県水産関係部局との連絡調整、合同取締り等を実施するとともに、漁業協同組合、水産関係者、地域住民などからの情報提供や、巡回連絡により密漁に関する情報収集を行い、潜在的な悪質密漁事犯の掘り起こしを行いました。

 また、海上保安庁のほか、警察、水産庁など関係機関で構成する「広域密漁防止対策推進委員会」、「密漁防止対策連絡会議」の場において、悪質・巧妙化する密漁への対応策が検討され、関係機関と合同で策定した綿密な計画に基づく取締りが実施された結果、密漁船のみならず背後の暴力団関係者を一挙に検挙するなど、関係機関一体となった連携強化策の効果が現れています。

かにかご密漁中の漁船
かにかご密漁中の漁船

【事例1】潜水器を使用し、うにを密漁した暴力団関係者を含むグループを逮捕

 函館海上保安部(所在地:北海道函館市)は、密漁取締中の平成14年10月18日、北海道山越郡長万部町の岸壁で、暴力団関係者等が密漁を終えて入港してきたゴムボートから岸壁に待機していた車両に漁獲物を積み込むのを現認し、北海道海面漁業調整規則違反容疑(密漁うにの所持禁止)で暴力団関係者等を逮捕して、うに等約1トン及び漁具等を押収しました。その後の捜査により、平成14年9月6日から10月17日までの間においても、うに等約5トン(約750万円相当)を密漁していた事実を特定しました。

【事例2】元暴力団組長の毛がに密漁船船長と乗組員を逮捕

 釧路海上保安部(所在地:北海道釧路市)は、平成14年1月11日、北海道白糠郡白糠町コイトイ沖において毛がに密漁取締り中の巡視船艇・航空機により、無許可でかにかごを使用して操業している漁船を現認し、その後乗組員の特定を進め、2月5日までに、主犯格である元暴力団組長の同船船長のほか、乗組員5名全員を北海道海面漁業調整規則違反(無許可かにかご漁業)容疑で逮捕しました。その後の捜査により、6名が共謀の上、平成14年1月2日から10回にわたり、毛がに約5.4トン(約1,000万円相当)を密漁していた事実を特定しました。

【事例3】関係機関と連携し、もじゃこ密漁漁船5隻を検挙

 油津海上保安部(所在地:宮崎県日南市)は、平成14年4月11日から5月3日までの、もじゃこ(ぶりの稚魚)特別採捕期間にあわせて、宮崎県漁政課と合同で巡視船艇・航空機と漁業取締船が連携して一斉取締りを実施しました。その結果、4月30日までに、宮崎県海域及び鹿児島県海域において、もじゃこ約750kg(約1,000万円相当)を不法に採捕していた大分県の漁船3隻及び高知県の漁船2隻を、宮崎県及び鹿児島県漁業調整規則違反(無許可機船船びき網漁業等)容疑で検挙しました。

漁業取締船と連携しての取締り状況
漁業取締船と連携しての取締り状況

密漁されたもじゃこ
密漁されたもじゃこ

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