海上保安レポート2003
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本編

治安を維持するために


テロ対策を始めとした警備活動の展開

3 具体的な対応

 海上保安庁では、平成13年9月11日に発生した米国同時多発テロ事件以降、本庁に「海上保安庁国際テロ警備本部」を設置し、各種テロ対策の検討、テロ発生時の迅速な指示体制を確立するとともに、テロ関連情報の収集など関係機関との連携を強化しています。

 原子力発電所等国内の重要施設には、その周辺海域に巡視船艇・航空機を配備して警戒するなど警備を強化するとともに、海事関係者などに対しても、不審船・不審物への注意など自主警備の強化の要請、不審情報の提供依頼を行っています。

 さらに、関係船舶が安全に航海しているかどうか把握できるよう、船位通報制度(JASREP*1)の対象海域外を航行する船舶に対しても海上保安庁への船位通報を行うよう呼びかけています。

 このほか、平成14年10月からは、海賊対策の一環としての東南アジア周辺海域への巡視船の派遣にあわせて、テロにも備えたしょう戒を実施しています。(トピックス「海上保安庁のテロへの対応」を参照して下さい。)また、外国艦船の我が国への寄港や核物質の海上輸送等に際しては、テロや海上紛争等に対応できるように所要の警備を実施しています。

 これらの警備を的確に実施するため、全国に警備実施強化巡視船*210隻を配置し、他の巡視船艇・航空機とともに警備実施訓練・各種研修を行うとともに、巡視船艇・航空機の即応体制の確保を実施するなど、警備実施体制の強化に努めています。また、爆発物の使用を含む船舶に対するテロ、船舶乗っ取り事案、生物テロなどの事案への対応など、高度な知識と技術が要求される事案には、特別な訓練や研修を受けたテロ対処部隊を投入することとしています。

原子力発電所の周辺海域を警備する巡視船
原子力発電所の周辺海域を警備する巡視船

*1 JASREP(Japanese Ship Reporting System) 北緯17度の線以北かつ東経165度の線以西の海域内の船舶から、船舶の位置や針路・速力などの通報を受けて、その動静を把握することにより、当該海域における海難救助の効率化を図ることを目的とした制度。

*2 警備実施強化巡視船 テロ行為及び極左暴力団の妨害行為の未然防止や市民デモの事故・暴動化を防止するため、必要な装備を備え、部隊として機能的に活動する巡視船のこと。乗組員は、逮捕術訓練、ゴムボートを使用した規制訓練、火炎瓶対処訓練などを積み重ね、集団規制方法の知識や技能を身につけています。
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