第拾雄洋丸 衝突・爆発炎上事故
LPGタンカー「第拾雄洋丸」(総トン数43,724トン、乗組員38名)は、LPG、ナフサ等を満載して、浦賀水道中ノ瀬航路を川崎向け航行中、昭和49年11月9日午後1時38分頃、千葉県君津から出航中の貨物船「パシフィック・アリス号」(総トン数10,874トン、乗組員29名)と衝突し、第拾雄洋丸のナフサタンクに破口を生じ、積荷のナフサが発火、第拾雄洋丸から噴出したナフサによりパシフィック・アリス号も火災を生じ、海面火災を伴って瞬時に両船は災に包まれた。
事故発生後、海上保安庁の巡視船艇・航空機及び民間船による必死の救助活動により、両船の乗組員34名が救助されたものの、残り33名が死亡した。
両船は、必死の消火活動にもかかわらず炎上しながら漂流し、陸上に対する二次災害の発生も懸念されたことから、海上保安庁では、民間船と協力し、タンク爆発の危険にさらされながらもえい航作業を行い、同日夜、第拾雄洋丸を千葉県富津沖に座洲させるとともに、パシフィック・アリス号を川崎沖に停泊させ、翌10日、パシフィック・アリス号の火災を完全鎮火させた。
第拾雄洋丸は、座洲後に高さ100mにも及ぶ火炎を伴う大爆発を起こし、その後も炎上を続けるとともに、船内に大量のLPG、ナフサが残存していたことから、同船を東京湾外に引き出すこととし、事故発生後12日目の11月20日、東京湾外への引き出しに成功した。しかし、爆発のおそれから翌21日えい航を断念し、えい航索を切断した。その後同船は、黒潮に乗って漂流を続けたが、災害派遣により出動した自衛艦の砲撃等により、事故発生後20日目の11月28日沈没した。
LPGタンカー第拾雄洋丸衝突・爆発炎上事故
(昭和49年11月9日発生)
【衝突位置図】