1 国境を守る海上保安庁
4 外国人漁業の取締り
1 新日韓及び新日中漁業協定による取締り海域の拡大
排他的経済水域内における外国人の漁業については、国連海洋法条約の批准に併せて施行された「排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律」(EZ漁業法)により規制することとなりましたが、韓国、中国については一部の海域を除き適用を除外していました。このため、韓国や中国との間で新たな漁業秩序の構築のための交渉を進めた結果、平成11年1月22日には新日韓漁業協定が、平成12年6月1日には新日中漁業協定が発効し、韓国漁船及び中国漁船に対するEZ漁業法の適用海域が拡大されました。その結果、韓国漁船及び中国漁船に対する取締り海域は、図のように大きく拡大しました。
【新日韓漁業協定発効に伴い拡大した取締り海域】
【新日中漁業協定発効に伴い拡大した取締り海域】
2 外国人漁業の監視取締りと今後の課題
海上保安庁は、新しい漁業協定の発効後、韓国漁船及び中国漁船が多数操業している日本海、九州周辺、東シナ海等の主要な漁場に重点をおいて、巡視船艇・航空機を配備し、韓国漁船及び中国漁船の監視取締りを行っています。
平成14年の外国船舶の無許可操業等の検挙件数は14隻(領海内4隻、排他的経済水域内10隻)で、前年の16隻(領海内2隻、排他的経済水域内14隻)とほぼ同数でした。
外国人漁業の取締りは、次のような悪質な事犯が多く、時には海上保安官が負傷する事態にも発展するなど、危険かつ困難を強いられます。
● 漁具を切断し逃走
● 高出力エンジンを搭載した高速船を使用し逃走
● 捕捉を逃れるために投石や蛇行するなど、海上保安官の移乗を妨害
● 移乗した海上保安官に対する暴行・傷害
● 船団で航行することにより、巡視船艇の追跡を妨害
【外国漁船の国籍別監視取締状況の推移】
不法操業を行った台湾漁船を追い詰める巡視船
このような外国人漁業を取り締まるためには、効果的な巡視船艇・航空機の配備・運用や捕捉能力の向上、情報収集・分析体制の強化のほか、水産庁等の関係機関との連携協力などが必要不可欠です。
今後も、跡を絶たない外国漁船の悪質な不法操業に対して、より一層、厳正な取締り姿勢で臨むとともに、速やかな許可情報の検索を可能にする外国漁船データベースの構築や新たな捕捉用資機材の開発・整備などを並行して実施していきます。
また、連絡協議会等の開催により水産庁等の関係機関とも連携強化を図るとともに、地域の不法操業に関する情報提供の呼びかけによる情報収集体制の拡充を行うなど、我が国の重要な漁業資源を守るための努力を続けていきます。
関係機関と連携して外国漁船を摘発した事例
平成14年3月17日、対馬西方の我が国排他的経済水域において、水産庁漁業取締船が、韓国漁船の無許可操業を確認し、当該漁船に対して停船命令を発するもこれを無視して逃走したため、第七管区海上保安本部(所在地:福岡県北九州市)に通報があった。同本部からの指令により、直ちに出動した巡視艇が強行接舷を実施し、当該漁船船長をEZ漁業法違反(無許可操業)の容疑で逮捕した。
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