海上保安 最前線   海上交通の安全は俺に任せろ!

酒田航路標識事務所 工藤貢

 私が、海上交通の安全の確保のために日頃から心がけていること、それは、いつでも安心して船を操船できる環境を維持することです。
 道路と違って沖合の夜の海は本当に真暗です。レーダで陸の存在を確認することはできますが、今自分がどこにいるのかをはっきり自覚させてくれるのは、灯台の光です。
 灯台は、観光名所となっているものもあり、また、日常景観にすっかり馴染み、当たり前のような存在となって機能しています。
 この当たり前のように存在する灯台の光が消えた場合、どうなることでしょう。仮に夜間操業する漁船が、急な天候変化で、帰港する時に灯台の光が消えていたならば…。重大な事故につながる可能性もあります。
 私は、「このようなリスクを無くしたい!」と考えていますが常にこれを阻む天敵に苦慮しています。
 それは、「雷」です。
 私達が管理する灯台やロランC局、ディファレンシャルGPS局等の航路標識は、岬の突端や防波堤の先端や見通しの良い小高い場所に設置されているため、雷の被害を受けやすく、直接灯台に落雷がなくても離れた場所への落雷により、電線に瞬時に高い電圧が加わり、灯台へと延びる電線に大電流が流れ、灯台の内部に侵入して機器を破壊するといったケースが多いのです。
 漁業操業者から「灯台が消えている。」と真夜中宿舎に連絡が入り、直ちに現場に向かいこれを復旧したことや、1日に3基の灯台が落雷の被害に遭い、一日中復旧作業に当たったということもあります。
 このように、海難事故から尊い命を守りつづけるために、業務に邁進したいと思います。

灯台の機器を入念にチェックする工藤海上保安官
灯台の機器を入念にチェックする工藤海上保安官

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