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グローバル化する業務ニーズに対応するために国際協力近年の社会経済の急速なグローバル化に伴い、国際犯罪の増加等一国のみでは対応できないような問題、いわゆる国境を越える問題が顕著化し、関係国間における連携・協力の必要性が高まっています。海上保安庁は近隣諸国をはじめとする関係国の海上保安機関との連携・協力体制を強化することにより、海上における安全と秩序の維持を目指しています。
薬物・銃器の不正取引、密航及び海賊等の国際組織犯罪に適切に対処するため、海上保安庁は北西太平洋地域の海上警備機関の連携・協力を呼びかけ、平成12年12月、韓国、ロシア及び米国の海上警備機関のトップを東京に招き、「北西太平洋地域海上警備機関長官級会合」を開催しました。 平成13年7月、モスクワで開催された第2回会合からは、新たにカナダ・中国*2が加わり、名称も「北太平洋地域海上警備機関長官級会合」と改め、情報交換システムの構築をはじめとする、連携・協力体制の基礎を固めてきました。 第3回長官級会合は、平成14年7月にハワイでの開催が予定されており、共同オペレーションやテロリズムへの対応等、新たな分野でも協力を図っていくこととしています。 北太平洋地域海上警備機関長官級会合の模様 *1平成14年2月のサンフランシスコにおける専門家会合にあたり、日本語の呼称を「北太平洋地域海上保安機関長官級会合」と改めた。 *2中国についてはオブザーバー参加 これまで海上保安庁は、主にアジア・太平洋地域の海上保安機関との連携・協力関係の構築に力を入れてきました。 しかし、海賊事件等の海上犯罪は、中東からの海上輸送ルートを擁するインド洋においても頻発しており同海域の安全確保も我が国にとって重要な問題になっています。 このような認識の下、海上保安庁は、平成13年11月東京において、インド洋地域(バングラデシュ、インド、パキスタン及びスリランカ)海上保安機関実務者会合を開催し、同地域の海上保安機関と将来的に緊密な関係を構築する足がかりを得ることができました。 これを契機として、今後ともインド洋地域の海上保安機関との協力関係を発展させ、アジア・太平洋地域からインド洋地域に及ぶ海域の安全と秩序の維持を目指していきます。 インド洋地域海上保安機関実務者会合の様子 海上保安業務の国際的連携・協力を継続的に実施するためには各機関の若手職員が、連携する相手機関、相手国の社会や経済について相互に理解を深めることが重要であると考えます。このため、海上保安庁では各国海上保安機関若手職員との交流を進め、人的ネットワークを構築し、今後の連携・協力に資するため、平成13年9月に中米、東南アジア諸国の海上保安機関の若手職員7名(インド、インドネシア、ヴィエトナム、シンガポール、タイ、パナマ及びマレイシア)を日本に招聘し、意見交換や施設見学を通じて相互の理解と友好を深めました。 意見交換の模様 施設見学の様子 多国間の取り組みのほか、これまで培ってきた近隣諸国との二国間での取り組み(連携・協力関係)も引き続き推進していく必要があります。 海上保安庁では、これまで米国、ロシア、韓国の海上警備機関との間で連携・協力関係強化のための文書を交換し、情報の交換、定期的な会合の開催など様々な連携・協力関係の構築に努めてきました。 中国との間でも、平成9年以降、海上取締りを担当する公安部との間で協議を重ね、連携・協力関係の確立を図ってきました。その結果、平成13年10月29日、東京において、海上保安庁長官と中国公安部副部長との間で両機関の密航・密輸問題をはじめとする分野での協力関係を強化していくための協力文書に署名が行われました。 海上保安庁では「国際緊急援助隊の派遣に関する法律」に基づき、海外の地域、特に開発途上にある海外の地域において大規模な災害が発生し、又は発生しようとしている場合に、被災国の要請に応じ、救助活動、災害応急対策及び災害復旧のための活動並びに巡視船艇・航空機による人員、物資の輸送活動を実施するための体制を整えています。最近の派遣実績としては、平成11年9月、「台湾中部地震災害救済国際緊急援助隊救助チーム」に職員13名を派遣しました。 また、平成13年9月11日に発生した米国同時多発テロの際には、発生後直ちに派遣隊員を羽田航空基地に集結させ派遣に備えました。 海上保安庁では、今後も国際緊急援助活動に積極的に職員を派遣し、海上保安庁が有する救助活動に関する知識・技能を国際協力の場で活用していきます。 国際緊急援助隊のトルコでの活動模様 ●国際緊急援助隊の派遣実績 |