シーライフを充実させよう

〜釣りを愛する人に〜

 まだ真っ暗な早朝に寝床を抜け出し、馴染みの瀬渡船へ。はやる気持ちを押さえながら一路、沖合の磯を目指す。そして、朝マズメには眩しい朝日と仲間の歓声を浴びながら、豪快に大物を釣り上げる―――。太公望たちにはきっと、至福の時に違いありません。
 「レジャー白書2001」((財)自由時間デザイン協会)によれば、平成12年の釣り人口は1,680万人であり、ここ数年は緩やかな減少傾向にあるとはいえ、今や釣りは身近なマリンレジャーとしてすっかり国民一般に定着していると言えるでしょう。そして、子供からお年寄りま で、これほど広い年齢層に親しまれているマリンレジャーは他には見当たりません。あなたの周りにも、冒頭のような釣り好きが、きっと一人や二人、いるのではないでしょうか。簡単に始められる手軽さと、その反面、道具や技術などの奥深さやその人その人に合った楽しみ方ができる多様性などが、こうした釣り人気の背景にあると考えられます。
 そんな釣り愛好者の皆さんに、釣り場で是非やってもらいたいことの一つに「一声かける」というのがあります。誰かに会ったらまず挨拶。こうすることで気持ち良く釣りが楽しめるだけでなく、意外な効果も期待できます。
 釣り中の事故といえば、転倒による怪我等も少なからずありますが、やはり命に関わるような事故は海中転落がそのほとんどを占めています。海上保安庁に通報があった海中転落事故のうち、助かった事例では、その多くが近くの釣り人や通りかかった船に救助されています。逆に、残念ながら亡くなった方々は、海に転落したことに誰も気づかず、帰宅が遅いなどの家族からの通報があって初めて、捜索・発見されるケースが多いのです。このことは、非常に大切な教訓を我々に与えてくれています。
 まず、釣りを楽しむときは、できるだけ仲間と出かけ、お互いに見える場所で釣ることが大切です。釣り中はなるべく離れないように心がけ、離れても少し大きな声を出せば聞こえるくらいの範囲に止める方が良いでしょう。釣りに熱中したい気持ちはわかりますが、仲間 にも注意を払うことを忘れないでください。そして、自分たちだけでなく、周りの釣り人にも気配りをして欲しいのです。だからこそ、「一声かける」ことが大切なのです。挨拶に始まり、天気の話題、釣果の情報交換などの会話をすれば、お互い同じ釣り場を共有する仲間 としての意識が生まれ、自然に相手のことにも気配りするようになるでしょう。そうすることで、海中転落で亡くなる人を一人でも少なくすることができるのではないでしょうか。声をかけた相手が名人だったりすると、こっそり秘密の仕掛けや、とっておきのポイントを教えてもらえるかもしれませんよ。
 そうそう、ライフジャケットも忘れずに着用して下さいね。

釣り

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