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人命を救うために(1)ジェットフォイル乗船者23名を全員無事救助平成14年1月2日、関西国際空港から神戸港行きのジェットフォイル〔総トン数165トン、乗客19名(うち幼児1名)、乗員4名乗組み〕(以下「A号」という。)から、「船底に破口を生じて浸水がとまらず、船体が右側に約20度傾斜、間もなく沈没する。」という通報がありました。このため、海上保安庁はA号を救助するため直ちに巡視船艇を現場に急行させました。 A号は、現場に到着した小型巡視艇と連絡を取りつつ、近くの港に緊急に入港するため、速力を落としてなんとか航行していましたが、港の入口付近で航行を続けることが不可能となり停船しました。この位置は防波堤からわずか100mしか離れておらず、強風により徐々に流され、防波堤が目前に迫ってきました。また、船内の1階客室には海水が侵入しており、乗客全員は救命胴衣を着用して2階客室に避難し、万一の場合に備えて退船準備をしている状況でした。 当時の気象は、風速18m/s、波浪4〜5m、気温4℃という状況でした。もし、このような状況下で幼児を含む23名が海上に投げ出されたら…。 そこで、緊急の曳航以外に救助手法はないと即座に判断した小型巡視艇は、強風、大波で自船の保持も困難な中、連続的に襲いかかる波に叩かれ、激しく動揺する甲板上で必死の準備作業を行い、防波堤への衝突目前で、A号の曳航に成功し、一人の死傷者も出すことなく乗客等を全員無事下船させることが出来ました。 救助にあたった小型巡視艇 救助の翌朝に撮影されたA号 船底に生じた破口の状況 |