▲初めてインドネシアへ派遣された巡視船 「みずほ」及び「えちご」 |
インドネシア危機 在留邦人救出への対応
5月19日、インドネシア国内における不安定な政治情勢に起因し、政府一体となって同国在留邦人の救出対策が進められました。外務大臣からの協力要請により、邦人救出に万全を期するため、海上保安庁は、初めてヘリコプター搭載型巡視船「みずほ」及び「えちご」を同国方面に向け派遣しました。その後、現地情勢が安定を取り戻したことによる撤収要請を受け、同月26日、待機中のシンガポール港を出港し、6月1日那覇港に入港しました。尖閣諸島をめぐる領海警備
6月24日、香港及び台湾の抗議船等6隻が、尖閣諸島領海付近に接近し、このうち香港の抗議船「釣魚台」号と降下したゴムボートが、領海内に侵入したため、海上保安庁は巡視船艇等により領海外に退去させました。その後、「釣魚台」号は遭難信号を発信し、乗組員等が他の抗議船に移乗したことから、海上保安官が調査した結果、機関室内を人為的に浸水させていたことが判りました。海上保安官による応急的な浸水防止措置等を施しましたが、「釣魚台」号は荒天等により魚釣島付近海域で沈没しました。
▲香港の抗議船を阻止する巡視船艇 | ▲船内調査を実施する海上保安官 |
▲集団密航のコンテナ |
相次ぐ集団密航事犯への対応
海上保安庁が摘発した不法入国者は、平成8年に481人、同9年に605人、同10年に331人となっており、不法入国事犯は、依然として深刻な情勢にありました。特に平成10年は、平成8年から同9年にかけて急増した仕立船による集団密航については減少したものの、船内に隠し部屋を設けて潜伏する事犯、偽造の船員手帳により船員になりすまして不法に入国する事犯が増加し、ますます悪質・巧妙化しました。8月21日には、神奈川県川崎港に入港したパナマ籍貨物船の隠し部屋に潜伏していた中国人密航者98名及び中国人偽装船員4名を発見、出入国管理及び難民認定法違反(不法入国)で逮捕、また、同船インドネシア人乗組員10名及び上記偽装船員4名(不法入国で逮捕済)を同法違反(集団密航助長)で逮捕しました。