海上保安庁の体制
2 装備
海上保安庁では、社会のニーズに的確に対応できる装備を常に整えておかなければなりません。また、現在ある装備の能力を常時100%発揮できるように備えておかなければなりません。これらを実行することによって、皆さんの期待に応えられると私たちは考えています。
船艇・航空機などの装備が海上保安庁の能力を発揮するための基盤になっていることから、海上保安庁では、限られた予算の中で、様々な業務に的確に対応できる装備を充実し、維持・活用しています。
◆船艇・航空機の現状
海上保安庁は、平成14年度末現在519隻の船艇、75機の航空機を保有しています。
我が国の領海及び排他的経済水域の面積を警備救難業務用船のうち巡視船艇の隻数(361隻)で割ると…
◆巡視船艇の機能向上
巡視船艇は、海上保安庁が業務を行うにあたっての屋台骨です。海上保安庁では、平成13年の九州南西海域における工作船事件を踏まえ、不審船・工作船追跡能力の向上、情報・通信・監視能力の強化、現場対処職員の安全確保のための防弾対策や武器の高機能化を図ることとしています。平成15年度は、このような不審船・工作船事案等への対応能力を強化するため、新規分として、
- ヘリ甲板付高速高機能大型巡視船2隻(平成18年度就役予定)
- 高速高機能大型巡視船2隻(平成18年度就役予定)
- 高速特殊警備船1隻(平成16年度就役予定)
を従来船の代替として整備することとしています。
このほか前年度からの継続分として、
- 高速高機能大型巡視船1隻(平成16年度就役予定)
- 中型巡視船1隻(平成15年度就役予定)
- 高速特殊警備船2隻(平成15年度就役予定)
- 小型巡視船1隻(平成15年度就役予定)
を整備することとしています。
◆航空機の機能向上
航空機は機動力と監視能力に大変優れていますので、広範な海域における不審船、外国漁船、密輸・密航船などの捜索監視活動や、海難に遭遇した人や船舶の捜索救助活動を行う上で重要な勢力です。
これらの業務に的確に対応するため前年度からの継続分として、平成16年度の就役を目指し、洋上監視能力、航続距離、輸送能力等に優れた新型ジェット機(ガルフストリーム・エアロスペース式 G−型)2機を整備します。
◆装備の技術開発
海上保安庁では、巡視船艇・航空機の整備以外にも、社会情勢に伴い変化する業務ニーズに対応するため、また更なる業務遂行能力向上のため、新たな装備の調査・研究及び開発を行っています。
◆巡視船艇・航空機の経年対策
平成14年度末現在、日本全国で活躍している巡視船艇・航空機のうち、就役後の経過年数が、20年を超えた巡視船艇・航空機の数は、次の円グラフのとおりとなっています。
これらの巡視船艇・航空機は、長年にわたる使用に伴い、船体・機体各部が衰耗するとともに、各機器の維持が困難になってきています。
老朽化した巡視船艇・航空機がこのまま増えていった場合、現場での海上保安業務の遂行に支障を来すおそれがありますので、順次、代替整備を進めていく必要があります。また、老朽化した巡視船艇・航空機の船体・機体各部の衰耗状態を的確に把握し、技術的知見に基づいた最適な整備を計画的に実施することにより、巡視船艇・航空機の能力を確保していくことが大きな課題となっています。
巡視船艇の老齢化率
航空機の経年化率
*1 RFS(Remote Firing System)目標追尾型遠隔操縦機能 最大対処距離をFCSよりも短く限定し、簡易な射撃計算を実施するシステム
*2 FCS(Firing Control System)射撃管制機能 遠距離の精密射撃を行うため弾丸が飛翔する大気の状態(気温、気圧、湿度)による弾道の変化及びその他射撃に必要なデータを精密に演算し、正確な射撃計算をするシステム
|