海上保安レポート 2008

●はじめに


特集1 海上保安庁 激動の10年

特集2 海洋基本法を見据えた海上保安庁の取組み〜新たな海洋立国の実現に向けて〜

1.体制を充実させて

2.海洋調査により海を拓く

2.大規模海難ゼロに向けて

特集3 海上保安庁のあゆみ


海上保安庁の任務・体制


■本編

治安の確保

6. 海洋権益保全のための警備活動
7. テロ対策
8. 不審船・工作船対策

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

航海を支える

海を繋ぐ


目指すは海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編


本編 > 治安の確保 > 6. 海洋権益保全のための警備活動
治安の確保
6. 海洋権益保全のための警備活動
目標 Target
 我が国周辺海域では、東シナ海における中国の資源開発、中国・台湾活動家による尖閣諸島の領有権主張活動、東シナ海等における我が国の同意を得ない海洋調査活動など我が国の海洋権益を脅かす事案が発生しています。
 海上保安庁では我が国の領海における主権を確保するために領海警備を的確に実施していくことに加え、領海の外に広がる広大な排他的経済水域での資源開発活動や海洋調査活動の監視活動を行うことで、我が国の海洋権益の保全に努めています。
平成19年の現況
 海上保安庁では、外国船舶が国際法で認められた「無害通航」や「緊急入域」以外の目的で領海内において停泊、徘徊したりしていないか、あるいは不法行為を行っていないかの監視取締りを行う領海警備を実施しています。
 外国海洋調査船に関しては、我が国の排他的経済水域及び領海内で21隻を確認し、この内、中国の海洋調査船1隻と韓国の海洋調査船1隻が国際ルールに基づく事前通報を行っていないまたは事前通報の内容と異なる活動を行っています。巡視船艇・航空機が特異な行動を行っている海洋調査船を認めた場合には、継続的に監視するとともに、外務省に情報提供し、外交ルートを通じて行われる中止要求の伝達を行うなど関係省庁と連携して厳正かつ適切に対処しました。
 平成19年10月には、不当な領有権主張活動を行う外国人活動家を乗せた船舶が、我が国固有の領土である尖閣諸島の領海内に不法侵入しました。海上保安庁は、現場で領海警備を行っていた巡視船等の勢力を迅速かつ的確に運用して不法侵入船舶を領海から退去させ、活動家による尖閣諸島への不法上陸を阻止しました。
 一方、北方四島周辺海域では、未だにロシア官憲による日本漁船のだ捕が頻発しており、日本船舶の被だ捕事案などの発生が予想される北方四島周辺海域においては、我が国漁業者の安全確保の見地から、巡視船艇を配備し、出漁漁船に対し直接または、漁業協同組合等を通じて被だ捕の防止指導及び漁業関係法令の遵守指導を行いました。
 このほか、中国が着々と進めている東シナ海における資源開発の監視活動を実施するなど我が国の海洋権益保全に努めました。
■外国海洋調査船確認件数
外国海洋調査船確認件数

■日本漁船の被だ捕発生状況の推移
日本漁船の被だ捕発生状況の推移
今後の取組み
 海上保安庁では領海警備の的確な遂行、国内外の関係機関との情報交換の実施、情報収集の強化を行い、情報に基づき効率的に巡視船艇・航空機を運用することで、海洋権益を保全するための警備を行っていきます。
韓国海洋調査船「EARDO」 領有権主張活動家船舶
▲韓国海洋調査船「EARDO」 ▲領有権主張活動家船舶