国際商業会議所国際海事局(IMB)に報告された平成19年の全世界における海賊の発生件数は、ソマリア沖等アフリカの一部海域での増加に伴い、平成18年より24件増加し263件となっています。一方、東南アジア海域においては、8件減少し80件、特にマラッカ・シンガポール海峡においては、6件減少し10件となっています。
また、日本関係船舶の海賊被害件数は2件増加し10件となっています。東南アジア海域における海賊の発生件数は、平成15年以来減少傾向にありますが、これは東南アジア海域の沿岸国による海賊対策の強化や、我が国を中心とした国際的な連携協力関係の推進等が要因であると考えられます。
しかしながら、ソマリア沖のように一旦減少傾向にあった海域で件数が増加に転ずるなどの例もあることから、引き続き注意が必要です。
海上保安庁では平成12年から巡視船・航空機を東南アジア各国へ派遣し、それらの国々の海上取締機関との海賊対策連携訓練や乗船研修等の実施を通じ、同機関の取締能力の向上や連携・協力関係の強化に努めてきました。平成19年2月には、初めての試みとしてマレーシア及びタイの海上取締機関との間で多国間の海賊対策連携訓練を実施しています。
また、東南アジア各国海上取締機関職員を我が国に招へいした研修やセミナーを開催し、海賊対策をはじめとする海上犯罪の取締りに必要な知識・技術の移転を行っています。
一方、海上保安庁はシンガポールに設置された情報共有センター(ISC)との連絡窓口として、具体的な事件情報に関する円滑な情報共有に努めています。また、同センター発足時から当庁職員を派遣しているほか、当庁海賊対策室と同センターとの間で情報伝達訓練を実施するなど、同センターとの連携強化に努めています。
さらに、海上保安庁では情報共有センター(ISC)や東南アジア各国の海上取締機関との間で、海賊関連情報の収集活動の強化にも取組んでおり、収集した情報については、海上保安庁ホームページにおいて広く一般に提供しています。