海上保安レポート 2008

●はじめに


特集1 海上保安庁 激動の10年

特集2 海洋基本法を見据えた海上保安庁の取組み〜新たな海洋立国の実現に向けて〜

1.体制を充実させて

2.海洋調査により海を拓く

2.大規模海難ゼロに向けて

特集3 海上保安庁のあゆみ


海上保安庁の任務・体制


■本編

治安の確保

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

航海を支える

海を繋ぐ


目指すは海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編


本編 > 治安の確保 > 7. テロ対策
治安の確保
7. テロ対策
目標 Target
 平成13年9月の米国同時多発テロ事件以降、依然として世界各地でテロ事件が多発しています。テロ事件は国民の安全な生活を脅かす深刻な問題であり、引き続き予断を許さない状況です。
 海上保安庁では、沿岸部にある重要施設等への警備を実施するほか、テロ関連情報の収集体制を強化し、警察、入管、税関、港湾管理者などの関係機関や民間事業者と連携を図り、海上におけるテロの未然防止に万全を期してまいります。
平成19年の現況
旅客船への警乗
▲旅客船への警乗
  臨海部の原子力発電所、石油備蓄基地、米軍施設、港湾や航路等において巡視船艇・航空機による監視・警戒を行ったほか、ゴールデンウィーク、夏休み、年末年始といった人の往来が活発となる時期には旅客船・カーフェリーを対象とした警乗や旅客ターミナルの警戒を重点的に実施しました。さらに、海賊対策の一環として東南アジア周辺海域へ巡視船、航空機を派遣した際に、テロにも備えたしょう戒を実施し、我が国関係船舶の安全確保を図っています。
 また、「国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律(国際船舶・港湾保安法)」に基づき、入港する船舶に対する規制を厳格に実施しています。平成19年においては、保安措置が的確に講じられているかどうか調べる必要がある船舶5,069隻に対して立入検査を実施し、テロの危険のおそれの有無等について確認を行った結果、問題のある船舶は認められず、入港禁止等の強制措置に至った例はありませんでした。
 関係機関・関係国との連携協力としては、平成20年2月に神戸港にて兵庫県警や神戸市消防局と連携して客船に爆発が生じたとの設定のもとテロ対策訓練を行う等の関係機関との合同訓練を実施しました。また、緊密な情報交換などによるテロ関連情報の収集・分析及び評価を行っています。さらに、国際港湾における港湾危機管理(担当)官を中心とした危機管理の調整業務、関係機関等との間隙のない水際対策や連携強化を実施しており、平成19年7月には新たに門司海上保安部長が関門港の港湾危機管理官に任命されました。民間との連携については、海事関係者や事業者等へ自主警備の強化を働きかけるとともに、不審情報の提供依頼を行っています。
今後の取組み
神戸港におけるテロ対策訓練
▲神戸港におけるテロ対策訓練
 平成20年度においては、北海道洞爺湖サミット及び関連閣僚会議が開催される予定となっています。海上保安庁では、「海上保安庁北海道洞爺湖サミット等海上警備対策準備本部」を設置してサミット開催に伴う海上警備に関する準備を的確に進めているところであり、また、首脳会議開催前に「海上保安庁北海道洞爺湖サミット海上警備対策本部」とし、首脳会議が開催される北海道及び関連閣僚会議の開催地はもちろん、その他全国の重点警備対象施設においても、関係省庁と連携を強化しつつ、海上における安全を確保するため、適切な海上警備を実施します。
 海上保安庁では、今後とも国内外のテロ情勢に応じたテロ対策の見直しや現場要員の確保を推進し、関係機関と緊密な連携を図りながら人命・財産を守り、テロの未然防止に厳格に取組んでいきます。