海上保安庁が送致する海上犯罪の件数は増加傾向にあり、平成19年は7,476件と前年より785件増加しました。
海事関係法令違反は3,465件と全体の46%を占めており、前年より379件増加しました。このうち、無検査航行、定員超過や過積載の禁止を規定する船舶安全法関連違反が約51%、無資格運航の禁止等を規定する船舶職員及び小型船舶操縦者法違反が約16%となっています。
刑法犯の送致件数は1,133件と全体の15%を占めており、前年と比べて82件増加しました。刑法犯には、船舶で発生した殺人・傷害などもありますが、その9割が衝突、乗揚げ等の海難により船舶の往来に危険を生じさせる罪(業務上過失往来危険等)と海難により人を死傷させる罪(業務上過失致死傷等)です。船舶は大量の貨物や大勢の旅客を輸送するという性質から、事故を避けるために適切な措置を執る必要があり、海上においては過失によって衝突や座礁し自船や他船の航行に危険を及ぼした場合にはその原因者に重い処罰が科されることとなっています。
具体的な治安確保のための取り組みとしては、税関、入国管理局や警察など国内関係機関との連携・協力の推進、情報収集要員の増員や情報分析の徹底等情報の収集・活用の強化、鑑識・鑑定による科学捜査の活用等を行っています。また、海上における治安の確保という任務に将来にわたっても的確に対応していけるような現場法執行能力を有する海上保安官を確保していくため、若手海上保安官を主な対象とした様々な取組みも推進しています。