海上保安レポート 2008

●はじめに


特集1 海上保安庁 激動の10年

特集2 海洋基本法を見据えた海上保安庁の取組み〜新たな海洋立国の実現に向けて〜

1.体制を充実させて

2.海洋調査により海を拓く

2.大規模海難ゼロに向けて

特集3 海上保安庁のあゆみ


海上保安庁の任務・体制


■本編

治安の確保

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

航海を支える

海を繋ぐ


目指すは海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編


本編 > 治安の確保 > 2. 国内密漁対策
治安の確保
2.国内密漁対策
目標
 豊かな漁場である我が国周辺海域では漁業が盛んに行われています。しかし、将来にわたり持続的に水産資源を確保する観点から、操業できる区域・期間の設定や、漁獲制限等の一定のルールがあります。私利私欲による密漁は、地域が大切に育んできた漁業資源を根こそぎ奪うこともあり、さらに、密漁で得られた収益は暴力団の収入源になっていることもあります。
 海上保安庁では、地域からの情報提供を呼びかけるとともに、監視取締りを実施するほか、水産庁などの関係機関との緊密な連携を進め、密漁事犯の根絶を目指します。
平成19年の現況
密漁犯の逮捕 密漁されたいせえび
▲密漁犯の逮捕 ▲密漁されたいせえび
  平成19年の密漁事犯の送致件数は1,796件と平成18年より219件増加しています。密漁に対しては地域の漁業者から多くの取締り要請があり、取締りを強化した結果が送致件数の増加となって現れたものと考えています。平成19年の特徴としては、高級食材と言われるあわび・さざえ・なまこ等を狙ったものをはじめとして、密漁担当や港から市場までの輸送担当といった役割分担、販路確保のため水産加工会社と結託するなど組織化・大規模化が進み、大掛かりな事件では、約3年間で販売価格約4,200万円に上る海産物を採捕したものもありました。
 また、潜水器を使用して地元漁業者が保護・育成してきた魚介類を根こそぎ捕獲するなど密漁は悪質・巧妙化の一途をたどっています。また、密漁で得られる対価に対して罰金が低い等の法定刑の限度もあり、再犯性が高い犯罪とされてきました。こうした背景から平成19年には漁業法及び水産資源保護法が一部改正され、罰金が最高50万円から200万円までに引き上げられました。
今後の取組み
 悪質・巧妙化する国内密漁事犯に対処するため、情報収集体制や現場鑑識能力の更なる強化を図ります。
 また、取締りの強化のみならず、各種密漁防止対策に努めていきます。具体的には、関係機関との情報交換や合同パトロールを実施し、「密漁船が活動し難い環境」を構築するほか、関係機関や防犯団体との連携を強化し、地域の特性に応じた総合的な密漁対策を推進していきます。
■国内密漁事犯の推移
国内密漁事犯の推移