海上保安レポート 2007

●はじめに


■TOPICS 海上保安の1年

  1. 竹島周辺海域における
    日韓両国による海洋調査
  2. 北朝鮮がミサイル発射!
    さらに核実験実施!
    日本政府は制裁措置を実施
  3. ロシア警備艇が発砲
    日本漁船乗組員が死亡
  4. 発達した低気圧の来襲!
    鹿島港で3隻座礁など太平洋側で海難続発
  5. 海を汚すな!
    海上環境事犯の徹底摘発
  6. 「ウニで8千万円、ナマコで5千万円」
    大規模密漁の摘発
  7. 荒れる日本海で深夜の追走劇
    韓国集団密漁漁船の船長を逮捕!!
  8. 航路標識の維持管理は
    新たな時代へ
  9. 一段と進む各国海上保安機関の
    連携訓練
  10. 北朝鮮から覚せい剤を密輸!
    暴力団幹部を逮捕!!
  11. 我が国最南端を照らす光

特集 海洋国家「日本」と海上保安庁
〜海洋権益保全への取組み〜

はじめに

1.これが現場第一線

2.海洋調査に迫る


海上保安庁の業務・体制


■本編

治安の確保

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

航海を支える

海を繋ぐ


海上保安官を目指す


語句説明・索引


図表索引


資料編


TOPICS > 海上保安の一年 > 4. 発達した低気圧の来襲!鹿島港で3隻座礁など太平洋側で海難続発
4. 発達した低気圧の来襲!鹿島港で3隻座礁など太平洋側で海難続発

座礁した「GIANT STEP」号から流出する鉄鉱石
▲座礁した「GIANT STEP」号から
流出する鉄鉱石
転覆した「第三明好丸」
▲転覆した「第三明好丸」
吊り上げ救助される乗組員
▲吊り上げ救助される乗組員
  平成18年は発達した低気圧の来襲により海難が多発しました。10月6日茨城県鹿島港沖でパナマ籍鉱石運搬船「GIANT STEP(ジャイアントステップ)」号(総トン数98,587トン、乗組員26名)が座礁、乗組員のうち15名が救助され1名は自力で泳ぎ着いたものの10名が死亡または行方不明となったほか、積荷の鉄鉱石や燃料の重油が流出しました。同日夜には、宮城県女川港沖でさんま漁船「第七千代丸」(総トン数198トン、乗組員16名)が転覆、乗組員全員が死亡または行方不明となりました。8日未明には静岡県下田港沖で遊漁船「第三明好丸」(総トン数16トン、乗員乗客15名)が転覆、乗組員及び乗客のうち8名が救助されたものの7名が死亡または行方不明となりました。
 さらに10月24日には、茨城県鹿島港内で中国籍鉱石運搬船「OCEAN VICTORY(オーシャンビクトリー)」号(総トン数88,853トン、乗組員24名)及びパナマ籍鉱石運搬船「ELLIDA ACE(エリーダエース)」号(総トン数85,350トン、乗組員20名)が相次いで座礁する事故が発生しました。悪天候のなか幸いにも2隻の乗組員は全員無事救助されました。
 海上保安庁では、いずれの海難に対しても特殊救難隊を出動させるなどして全力で捜索救助活動を行いました。
 これら低気圧の接近に際し、気象庁から海上暴風警報が発表されており、海上保安庁でも船舶に対し無線放送等により気象情報の周知や強風による事故の防止に関する注意喚起を行いました。しかしながら、判断の甘さにより急速に発達した低気圧から避難するタイミングが遅れ、海難に至ったと思われます。
 今後とも荒天に関する情報提供を確実に行うとともに、パンフレットを利用するなどして気象情報の早期把握等の安全対策について指導を徹底していきます。
 なお、鹿島港では、これらの座礁事故の発生をふまえ、関係行政機関等で構成する「現地連絡会議」を設置し、再発防止対策の検討が行われました。今後も引き続き関係者が一致協力して再発防止に取り組んでいくこととしています。

■10月の主な海難の発生位置図
10月の主な海難の発生位置図