海上保安レポート 2007

●はじめに


■TOPICS 海上保安の1年


特集 海洋国家「日本」と海上保安庁
〜海洋権益保全への取組み〜

はじめに

1.これが現場第一線

2.海洋調査に迫る


海上保安庁の業務・体制


■本編

治安の確保

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

航海を支える

海を繋ぐ


海上保安官を目指す


語句説明・索引


図表索引


資料編


特集 > 1.これが現場第一線 > 3 外国海洋調査船への対応
3 外国海洋調査船への対応

 中国は、近年、東シナ海などの我が国の排他的経済水域において、調査活動を活発に行っています。海上保安庁は、平成11年には過去最高の33隻の中国海洋調査船を確認しました。この中には我が国の領海内に侵入して調査活動を行うという極めて悪質な事案もありました。
中国海洋調査船「東方紅2号」
▲中国海洋調査船「東方紅2号」
中国海洋調査船「奮闘4号」
▲中国海洋調査船「奮闘4号」
沖ノ鳥島
▲沖ノ鳥島
  こうした東シナ海における無秩序な状況を解決するため、平成13年、我が国と中国との間で、東シナ海における相手国の近海で海洋の科学的調査を行う場合は、調査開始予定日の2か月前までに、外交ルートを通じ通報することを内容とする「海洋調査活動の相互事前通報の枠組み」について合意し、同年2月から運用が開始されました。その結果、近年は東シナ海において我が国の同意のない調査活動は減少し続け、ついに平成17年には確認されない状況となりましたが、再び平成18年には7件の我が国の同意のない調査活動を確認するという結果となっています。
  最近では、平成19年2月、中国海洋調査船「東方紅2号」が、前記日中相互事前通報の枠組みに基づいて我が国に対し事前通報した海域の外である尖閣諸島魚釣島周辺の我が国排他的経済水域において、航行・漂泊を繰り返しつつ、科学的調査と思われる調査を断続的に実施するという事案が発生しています。
 また、中国は、日本の最南端に位置する沖ノ鳥島は「岩」であるから、排他的経済水域及び大陸棚は認められないと主張しています。国連海洋法条約では「島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれた、高潮時においても水面上にあるものをいう。」と定義されており、沖ノ鳥島はまさにこの定義に該当する島であることから、中国の主張は根拠のないものであり、受け入れられるものではありません。平成15年及び平成16年には、沖ノ鳥島周辺の我が国排他的経済水域において、我が国の同意のない調査活動を行う中国海洋調査船を確認しています。
 海上保安庁では、引き続き、巡視船・航空機による監視を行い、我が国の同意がない調査活動を行う外国海洋調査船を確認した場合は、外務省が外交ルートを通じて中止要求及び厳重な抗議を行うとともに、現場においても、巡視船艇・航空機により無線等を通じた中止要求を実施し、我が国の海洋権益の保全に努めます。

■中国海洋調査船の件数一覧、確認状況
中国海洋調査船の件数一覧、確認状況