海上保安レポート 2007

●はじめに


■TOPICS 海上保安の1年


特集 海洋国家「日本」と海上保安庁
〜海洋権益保全への取組み〜

はじめに

1.これが現場第一線

2.海洋調査に迫る


海上保安庁の業務・体制


■本編

治安の確保

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

航海を支える

海を繋ぐ


海上保安官を目指す


語句説明・索引


図表索引


資料編


特集 > 1.これが現場第一線 > 2 東シナ海における資源開発
2 東シナ海における資源開発

 豊富な地下資源が埋蔵されていると指摘のある東シナ海では、日中両国の間で排他的経済水域及び大陸棚について境界を画定するには至っていません。我が国は、地理的中間線により、これらの境界を画定すべきと主張しているのに対し、中国は、中国大陸から自然延長の終点である沖縄トラフが日中間の大陸棚の境界であると主張しています。
 この中国の主張は、国連海洋法条約上、沿岸国からの距離が200海里を超えた大陸棚の終点を定める場合にのみ適用される理論で、日本と中国のように両国間の距離が400海里未満の場合には適用されないものであります。また、我が国が主張する地理的中間線に基づく解決は、向かい合った海岸線をもつ国家間の境界画定では、国際司法裁判所の判例によりすでに確立している考え方であることからも、中国の主張は受け入れられるものではありません。
平湖油ガス田
▲平湖油ガス田
  中国は、既に東シナ海の日中地理的中間線付近に存在する、平湖油ガス田、樫(中国名:天外天)ガス田及び白樺(中国名:春暁)油ガス田などに採掘用の海洋構築物を設置し、一部では生産を開始させています。資源エネルギー庁によると、これら油ガス田の一部は地下構造上、地理的中間線の日本側にも連続しており、このまま中国が開発作業を続ければ日本側の資源が吸い取られてしまうことになります。
 我が国は、資源開発問題等について話し合う「東シナ海等に関する日中協議」(平成16年10月から開始)等の機会を利用して、日中地理的中間線付近で行われている中国の資源開発活動の中止を求めていますが、中国は資源開発が中国側の海域で行われていることを理由に開発活動の中止要請には応じておらず、依然として開発を着々と進めている状況です。
 なお、平成19年4月の日中首脳会談の際には、双方が受入可能な比較的広い海域において共同開発を行い、平成19年秋に具体的方策を首脳に報告することを目指すこととされています。
 海上保安庁では、引き続き、東シナ海における航空機によるしょう戒等により、中国の開発状況を把握し、情報提供を行うなど関係省庁と連携していくこととしています。

■東シナ海における資源開発
東シナ海における資源開発