海上保安レポート 2007

●はじめに


■TOPICS 海上保安の1年


特集 海洋国家「日本」と海上保安庁
〜海洋権益保全への取組み〜

はじめに

1.これが現場第一線

2.海洋調査に迫る


海上保安庁の業務・体制


■本編

治安の確保

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

航海を支える

海を繋ぐ


海上保安官を目指す


語句説明・索引


図表索引


資料編


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コラム3 巡視船「だいせん」による警告

第八管区海上保安本部 境海上保安部
巡視船「だいせん」
警告中の海上保安官
警告中の海上保安官
▲警告中の海上保安官
Haeyang2000(右)と韓国警備艦「5001」(左)
▲Haeyang2000(右)と
韓国警備艦「5001」(左)
 平成18年7月5日早朝、視界1,000メートル、小雨が降る悪天候の中、巡視船「だいせん」は竹島周辺海域でのしょう戒を行いながら、かねてから情報のあった韓国海洋調査船「Haeyang2000」号による我が国EEZ内での海洋調査に備えた警戒も行っていた。
 『我が国EEZ内での海洋調査を実施する場合には、我が国の同意を得て実施しなければならない。我が国の同意のない海洋調査活動を発見した場合、現場においては「我が国の同意のない調査は認められない」旨の中止要求を行う。』という船長の指示が船橋内に響く。
 日出となり周囲はうっすらと明るんできたが、雨のせいで視界は極めて悪い。レーダーによる監視を行っていた乗組員から、
『330度方向、レーダー映像あり。』
との報告で船橋内が一気に緊迫した空気に包まれた。
 見張りを行っていた乗組員全員が双眼鏡を覗き込む。レーダー映像が徐々に近づくにつれ、小雨の中からうっすらと海上に白い船影が浮かび上がり、船首部に特徴のあるマークが見えてくる。すぐにH号であると特定できた。
 H号の近くには、韓国海洋警察庁の警備艦「5001」が同行していた。発見から間もなく、H号は我が国EEZに入域したが、えい航物等の外観上の特徴は認められない。H号へ無線により作業内容、目的等を問い合わせると、
「海洋調査を実施するので妨害しないでほしい。使用資器材は回答できない。」
という回答が返ってくるとともに、韓国警備艦「5001」がH号を守るように間に割り込んできた。
 すぐさま『中止要求』、船長からの指示がとぶ。
『我が国EEZ内では、我が国の同意のない海洋調査は認められない。直ちに調査を中止せよ。』
 「だいせん」は、無線・船外マイク・電光掲示板等により中止要求を行いながら、H号への中止要求の状況を写真やビデオに記録していく。相手と並走しながら我々は動静を監視しつつ、粘り強く中止要求を繰り返していたところ、夜半になってH号は我が国EEZから退去した。「だいせん」の船橋からH号の船尾灯の灯りが見えなくなり、レーダー映像から消滅するのを確認した後、再びしょう戒の任務に復帰した。