海上保安レポート 2006

●はじめに


■TOPICS 海上保安の一年

  1. 転覆船から生存者救助!
    根室沖さんま漁船衝突転覆海難
  2. 海上保安官を乗せ逃走!
    立入検査忌避罪で韓国漁船船長を検挙
  3. タンカー衝突・炎上!
    太平洋沿岸海域で衝突事故続発
  4. 水産資源の乱獲!
    密漁は許さない!
  5. 海を汚すな!
    海上環境事犯の徹底摘発
  6. 救助総数1,600人以上!
    特殊救難隊発足30周年
  7. パキスタンに国際緊急援助隊救助チーム派遣!
  8. 新たな戦力!
    新型の2,000トン型巡視船就役
  9. 南硫黄島の北東で海底噴火!
    新たな火口を確認
  10. 運用拡大中!
    船舶自動識別装置(AIS)を活用した次世代型航行支援システム
  11. 巡視船「しきしま」、シンガポール主催のPSI海上阻止訓練に参加
  12. 北太平洋地域海上保安機関長官級会合、神戸で開催 海上テロ対策の共同宣言に署名
  13. 映画「LIMIT OF LOVE 海猿」撮影協力

■特集1 国際展開する海上保安庁

■特集2 刷新図る海保の勢力


海上保安庁の業務・体制


■本編

治安の確保

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

航海を支える


海保のサポーター


海上保安官を目指す!


語句説明・索引


図表索引


資料編


TOPICS > 海上保安の一年 > 1. 転覆船から生存者救助! 根室沖さんま漁船衝突転覆海難
TOPICS 海上保安の一年
1. 転覆船から生存者救助! 根室沖さんま漁船衝突転覆海難

船底を叩く潜水士
▲船底を叩く潜水士
 平成17年9月28日、午前5時53分、海上保安庁運用司令センター(東京都)は根室沖南東約45kmに小型船が転覆しているとの通報を受けました。調査の結果、転覆船はさんま漁船「第三新生丸」(19トン、乗組員8名)であることが判明し、船体には亀裂や衝突されたような痕が確認されました。
 同日午前10時頃、現場に到着し転覆船の船底上にはい上がった潜水士が、水中ナイフの柄で船底をたたいたところ、
 「ガン、ガン、ガン」
と、返事をするような音があり、生存者を確認。その後、特殊救難隊が転覆船の船内に進入し、中で生存していた1名を救助しました。しかし、残念ながらこの事故により7名の方が亡くなりました。
  第三新生丸の船体の状況や、生存者の証言などから、同船は衝突された可能性が高いと判断し、該当する船舶の洗い出しを行ったところ、韓国の釜山に入港しているイスラエル籍コンテナ船「ZIM ASIA」(41,507トン乗組員21名)が衝突したとの疑いが濃厚になりました。
 折しもこの時期に第6回北太平洋地域海上保安機関長官級会合が神戸で開催されており、海上保安庁長官から韓国海洋警察庁庁長に対し釜山入港中のZ号の現地調査を依頼したところ快諾され、海洋警察庁の迅速な対応によりZ号から塗膜片などの関係資料を入手することができました。同庁との普段からの連携・協力が有効に発揮され、このように早期の対応が可能となりました。
 その後、Z号の塗膜片と第三新生丸に付着した塗膜片との同一性を海上保安試験研究センター(東京都)にて鑑定を行い、Z号を衝突相手船と断定しました。
イスラエル籍コンテナ船「ZIM ASIA」
▲イスラエル籍コンテナ船「ZIM ASIA」
海上保安試験研究センターの職員
▲海上保安試験研究センターの職員
海上保安試験研究センター
▲海上保安試験研究センター
転覆している第三新生丸
▲転覆している第三新生丸