人命を救うために
3 漁船急病人の救助-洋上での救急往診-
平成14年8月1日、佐渡島の北北東約370kmの日本海で操業中のいか釣り漁船S丸の乗組員1名が突然吐血して倒れ、医師による早急な診察が必要となったため、船主から救助の要請がありました。
海上保安庁では、新潟航空基地から現場海域までが遠く、ヘリコプターで直接陸上まで搬送することが困難であったため、ヘリコプター搭載型巡視船とヘリコプター2機による「飛び石救助」を実施することにしました。
まず、巡視船をS丸と陸岸のほぼ中間付近に進出させるとともに、巡視船に搭載されているヘリコプターにより陸上から医師と看護師を巡視船まで搬送し、患者の受け入れ態勢を整えました。
並行して新潟航空基地から飛び立ちS丸に到着したヘリコプターは、患者を吊り上げ救助し、巡視船まで搬送しました。
患者は巡視船で待機していた医師の診察・治療を受けた後、給油を済ませた基地のヘリコプターで医師とともに陸上のヘリポートまで運ばれ、救急車に引き継がれました。
新潟航空基地を飛び立ち患者を救助したヘリコプターは、3時間、約600km飛行したことになります。
この患者は早期の医師による診察・治療が効を奏し、10日後には無事郷里に帰ることができました。
吊り上げ救助
「飛び石救助」
(注) このように、洋上で医師の救急往診を受けることのできる制度は、(社)日本水難救済会が行っている「洋上救急」という事業です。海上保安庁では傷病者や医師の輸送等を行うなどこの事業に協力しています。
|