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海の安全を確保するためにマリンレジャーの安全推進
海上保安庁では、マリンレジャーに伴う死亡・行方不明者について
☆平成17年までに船舶海難及び海中転落によるプレジャーボート等乗船者の死亡・行方不明者数を年間40人以下に減少させる。(「海難の救助」の項における目標値「年間200人以下」の内数) ☆平成17年までに釣り愛好者の死亡・行方不明者数を年間70人以下に減少させる。 という目標値を設定し、死亡・行方不明者の減少に努めています。 磯釣りを楽しむ プレジャーボート等の乗組員については、「海難の救助」の項に記述したとおりです。 釣り愛好者については、平成13年の死亡・行方不明者数は125人であり、目標値を55人オーバーしました。 生存率の状況をみると、釣り中の事故の場合においても、ライフジャケットの有効性は明らかであり、また、早期に通報された事故の生存率が高くなっています(海上保安庁が事故の発生を1時間以内に知った場合の生存率は75%、1時間以上経ってから知った場合の生存率は35%)。これは同行の家族・仲間・付近の釣人などが海上保安庁へ通報するとともに、救助活動を実施した結果です。このため、海上保安庁では今後もライフジャケットの着用を積極的に推進するとともに、釣人に対して単独での活動を避けるよう周知活動を行っていくこととしています。 海上保安庁では、マリンレジャーに伴う事故を未然に防ぐため、ポスター、パンフレット等を作成、配布し事故防止を呼びかけるとともに、一般船舶の航行が少ない休日等に港内の一部を開放するボート天国を開催し、体験乗船やレース等を通じて、安全についての意識や技術・マナーの向上を目指しています。 ボート天国 また、広く一般の方々が海で遊び、海と親しみつつ、海から安全を学ぶ環境づくりを応援するという、事故防止に向けた新たなアプローチを検討しており、その具体的な施策として、海道の旅(マリンロード)構想を関係機関と連携して推進しています。 この構想は、プレジャーボートの係留、燃料の補給などに適したマリーナ等を宿場町とし、それらを結ぶ推奨ルートを設定するほか、海上安全、観光、レジャー等の情報が入手できるようにし、安全サポート体制も確保するものです。平成13年度には、学識経験者、関係機関及び関係団体等による調査検討委員会を開催し、宿場町や推奨ルートの設定要件及び情報提供のあり方等の基本コンセプトを構築しました。平成14年度には東京湾及び周辺海域においてモデル事業に着手します。 マリンロード構想 一方、不幸にしてマリンレジャー事故が発生した場合においては、海上保安庁では、「海難の救助」の項で述べたように、マリンレジャー事故のほとんどが沿岸部において発生している状況を踏まえ、死亡・行方不明者をできる限り少なくするため、機動救難士を航空基地に配置し沿岸救助即応体制を強化する等、救助活動に最善を尽くします。 また、死亡・行方不明者の根絶のためには、民間の救助機関の協力が特に重要であると考えています。 現在、我が国の沿岸部において、海難救助活動を行う民間ボランティア団体として中心的な役割を果たしているものに(社)日本水難救済会があり、臨海全都道府県に整備されている地方水難救済会傘下の1,054ケ所の救難所及び救難支所において、局地的な地形や気象・海象を熟知している46,510人のボランティア救助員が地元海難の救助活動を行っています。平成13年の海難等への出動回数は467件であり、529人の人命、228隻の船舶を救助しています。 また、我が国におけるマリンレジャーの健全な発展に寄与することを目的として設立された(財)日本海洋レジャー安全・振興協会では、東京湾、伊勢湾及び大阪湾並びにその周辺海域において、プレジャーボート等を対象とした会員制救助サービス(BAN:Boat Assistance Network)を運営しているほか、全国規模のスキューバダイバーを対象とした会員制応急援助事業(DAN JAPAN:Divers Alert Network of Japan)を運営しています。 海上保安庁では、これらの活動を積極的に支援しています。 水難救済会の訓練風景 BANサービス概念図 DAN JAPANホットラインサービス概念図 さらに、死亡・行方不明とならないためには、先に述べたとおりライフジャケットの着用と事故の速やかな通報が非常に有効ですので、今後とも、(1)ライフジャケットの常時着用、(2)携帯電話等の連絡手段の確保、(3)緊急通報用電話番号「118番」の有効活用を3つの基本とする「自己救命策確保キャンペーン」を官民一体となって展開するとともに、所属会員がライフジャケットを率先して着用する「ライフジャケット着用モデルマリーナ」等を全国的に拡充していくこととしています。 海上保安庁では、大切な命を自分で守るために、マリンレジャーを楽しまれる方々に、上の3つの基本の実践を心がけていただきたいと考えていますが、釣り等においては、事故の早期通報はもとより、同行者による救助も期待できることから、複数人数による活動を改めてお願いします。 ライフジャケット着用モデルマリーナ (江の島ヨットハーバー) |