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治安を維持するために領海警備等
領海警備等の目標は、我が国の主権を確保するため、これを侵害する行為に対して厳正な対応を行うことです。
海上保安庁では、創設以来、最も重要な業務の1つとして領海警備に取り組んでいます。領海警備は、領海内における外国船舶の無害でない航行や不法行為の監視取締りを任務とする警察活動であり、我が国の平和、秩序、安全を害する外国からの諸活動に対して、我が国領海内における主権を確保するために行うものです。 平成13年には、352隻の不法行為又は徘徊、漂泊する等の特異な行動をとった外国船舶(以下「特異行動船舶」という)を確認し、このうち不法行為を行った229隻に対しては、警告退去又は検挙、特異な行動をとった123隻に対しては、当該行動の中止要求又は警告退去などの措置を講じ、厳正な対応を行いました。 (1) 尖閣諸島を巡る対応 尖閣諸島は、沖縄群島西南西方の東シナ海に位置する我が国固有の領土であり、海上保安庁では、同諸島周辺海域に常時巡視船を配備し、また、定期的に航空機をしょう戒させ、関係省庁と連絡を密にして、外国船舶による領海侵犯、不法上陸等の警備に当たっています。 尖閣諸島 尖閣諸島位置図 同諸島を巡る問題は、昭和43年、日本、台湾及び韓国の海洋専門家等が、国連アジア極東経済委員会の協力を得て東シナ海海底の学術調査を行った結果、東シナ海の大陸棚に石油資源が埋蔵されている可能性があることを指摘したことが発端となっています。 昭和46年以降、中国、台湾が公式に領有権を主張し始め、平成8年7月からは、台湾、香港等で「保釣活動」と呼ばれる領有権主張の活動が活発化し、台湾及び香港の抗議船が、同諸島領海内に侵入する事案が多発しました。今後もこのような抗議活動は続くものと考えられ、海上保安庁では、このような事案に対しては全国から巡視船艇・航空機を動員する等万全な体制で、政府方針に基づき、領海警備を行っていくこととしています。 尖閣諸島をめぐる領海警備 (2)外国海洋調査船に対する対応 我が国周辺海域では、海洋開発に対する各国の関心の高まりや海底資源開発技術の進歩等を背景として、外国による海洋調査活動が多く確認されています。 我が国は、国連海洋法条約等に基づき、我が国の大陸棚及び排他的経済水域において、外国が海洋の科学的調査を行うことは我が国の同意がない限り認めないこととしています。このため、海上保安庁では、外国海洋調査船等に対し巡視船艇・航空機により監視を行い、我が国の同意がないものに対しては、現場海域において中止要求を行うとともに、外務省等関係機関に速報する等により対処しています。 中国はこれまで、我が国と大陸棚及び排他的経済水域の境界線が確定していないこと等から、我が国の排他的経済水域において、我が国の同意なく調査活動等を行っていました。特に平成11年には過去最高の33隻の海洋調査船を確認、中には我が国の領海内に侵入して調査活動を行った事案も発生、平成12年においても24隻を確認する等、中国海洋調査船の活動の活発化が大きな問題となりました。 このため、平成13年、日中間において東シナ海における相手国の近海で海洋の科学的調査を行う場合は、相互に事前通報を行うことを内容とする海洋調査活動の相互事前通報の枠組みが合意され、同年2月から運用が開始されました。平成13年には、海上保安庁では、11隻の海洋の科学的調査を行っている中国海洋調査船を確認しています。このうち5隻(奮闘4号等)は事前通報がない、若しくは、事前通報と合致しない調査活動を行っていたことから、巡視船艇・航空機により追尾監視・中止要求を行うとともに、外交ルートを通じ、中止要求等を行いました。 中国海洋調査船(奮闘4号)を監視する巡視船 海上保安庁では、今後も引き続き、我が国の平和、秩序、安全を害する外国船舶の領海への侵入、外国海洋調査船による我が国の同意のない調査活動等の主権侵害行為等に対して厳正に対応していくこととしています。 |