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3. 国内密漁対策
我が国の周辺海域は水産資源の豊かな海域であり、その資源を狙った密漁事犯は後を絶ちません。これらは私利に目がくらんだ漁業者によるほか、暴力団が資金を確保するため組織的に行うことも少なくなく、一層悪質化しています。密漁を根絶することは資源の乱獲を防ぐだけでなく、暴力団等を弱体化することにつながります。
海上保安庁では、地域からの情報提供を呼びかけるとともに、監視取締り活動を実施するほか、水産庁などの関係機関との緊密な連携を進め、密漁事犯の根絶を目指します。
特に、暴力団関係者が関与する悪質な密漁の根絶に向け厳格に対処し、摘発水準の向上を目指します。
暴力団関係者が関与する密漁事犯等については、地域特性に応じた取締り手法の開発や関係機関との連携を強化し、引き続き重点的に取締りを実施した結果、平成18年の密漁事犯に係る送致件数は1,550件と平成17年より121件増加しています。
国内における密漁は自治体等からの強い取締り要請がある一方、法定刑の限度もあって、再犯性が高く、組織化、悪質・巧妙化の一途をたどっています。
■密漁事犯の推移
あわび密漁事犯
平成18年10月、八戸海上保安部(青森県)は、採捕が禁止されているあわびを不法に採捕している情報を入手、ぐ犯船舶を動静監視したところ、同船舶が不法に採捕していたあわびを荷揚げしていたことから、同船舶船長らを青森県海面漁業調整規則違反(※)で現行犯逮捕しました。
その後の捜査の結果、平成18年8〜10月までの間、青森県特定海域において、約30回にわたり、採捕禁止期間中のあわび約542kgを不法に採捕した事実が判明しました。
※青森県海面漁業調整規則 第36条(採捕の禁止期間)
→6月以下の懲役若しくは10万円以下の罰金又は併科
悪質・巧妙化する事犯に対処するため、新たな監視取締り手法の研究や、被疑船舶を割り出すための現場鑑識能力を強化するとともに、情報収集体制の更なる拡充を図ります。
そのほか、関係機関との情報交換や合同パトロール、港湾管理者による
不法係留船対策等の施策を有機的に連携させ「密漁船が活動し難い環境」を構築するなど、地域の特性に応じた総合的な密漁対策を推進し、関係機関や防犯団体との連携を強化していきます。
また、取締りの強化だけでなく、規制や罰則の強化を含めた法制面での対策も不可欠と考えられることから、関係省庁との関係をさらに密接にし、海上保安庁によるこれら取締りの現状を踏まえ、各種密漁防止対策に努めていきます。