海上保安レポート 2007

●はじめに


■TOPICS 海上保安の1年


特集 海洋国家「日本」と海上保安庁
〜海洋権益保全への取組み〜

はじめに

1.これが現場第一線

2.海洋調査に迫る


海上保安庁の業務・体制


■本編

治安の確保

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

航海を支える

海を繋ぐ


海上保安官を目指す


語句説明・索引


図表索引


資料編


本編 > 治安の確保 > 1. 海上犯罪を巡る動き
1. 海上犯罪を巡る動き

 一般に海上犯罪は陸上犯罪よりも直接的な被害が明確でなく、犯行実態も見えにくいという特徴があるなか、密輸・密航、密漁など一部の犯罪においては国際犯罪組織や暴力団などの関与によって悪質・巧妙化が進んでいる状況にあります。
 海上保安庁では、取締体制の強化、国内外の関係機関との連携・協力の推進、情報の収集・分析の強化、巡視船艇・航空機による監視取締りの強化、鑑識・鑑定による科学捜査の活用や研修の実施などによる法執行能力の維持・向上に向けた取組みを行ってきた結果、平成18年の海上犯罪の送致件数は6,691件と平成17年より434件増加しました。
 法令別の送致件数を見ると、船舶検査不受検運航や無資格運航、水上オートバイの無謀運転などの海事関係法令違反が最も多く全体の46%を占めています。海事関係法令のほとんどは船舶の運航者や乗組員の安全を守るために定められており、遵法精神の欠如によって引き起こされる不幸な海難や人身事故を減少させるため、取締りに力を入れるとともに指導・啓発活動を実施しています。
 また、刑法犯も全体の16%と多くの割合を占めています。衝突、乗揚げ等の海難により船舶の往来に危険を生じさせる罪(業務上過失往来危険等)と海難により人を死傷させる罪(業務上過失致死傷等)が刑法犯の約9割を占めています。その他、船舶で発生した殺人・傷害などもあげられます。
 密輸・密航、密漁といった事犯については本章で、海上環境法令違反については「青い海を護る」の章で詳しく紹介します。

■海上犯罪送致件数(平成18年)
海上犯罪送致件数(平成18年)
警務管理官

 平成19年4月から、留置業務の適正管理や犯罪により被害を受けた方々(以下、「犯罪被害者等」という。)の支援などを担う警務管理官を本庁及び各管区本部に新たに配置し、厳正かつ的確な業務を推し進めていきます。

●留置業務
 海上保安庁は、海上における警察機関として海上犯罪の捜査を任務とし、被疑者の逮捕、証拠の収集などを行っています。逮捕した被疑者については、法の定めにより、警察機関において最長48時間の留置が認められています。このため、海上保安部署や一部の巡視船には留置施設が設置されており、留置担当者を設け捜査業務と分離し、被留置者の人権に配慮した適正な留置業務を実施しています。
 また、留置業務を規定した「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律」の施行が平成19年6月に予定されており、留置施設の適正な管理運営、被留置者の適切な処遇を関係機関で斉一的に行うなど、厳正な留置管理が要求されています。

●犯罪被害者等のための支援業務
 海上で犯罪が発生した場合は、犯罪捜査機関として適切な捜査を実施するとともに、犯罪被害者等の保護・支援のための取組みを実施しています。
 犯罪被害者等のための支援は、各海上保安部署の犯罪被害者等支援主任者を中心として、事件発生直後から必要な措置をとる体制にあります。捜査の状況や犯罪被害者等が求める情報を連絡する被害者連絡制度を実施するほか、平素からも犯罪被害者等からの相談を受けたり、海上保安庁が実施している取組みをホームページやパンフレットを用いて情報提供するなど、個々の事情に配慮した適切な支援を継続的に実施し、犯罪被害者等の負担を少しでも軽減できるよう努めています。
http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/hanzaihigai/