▲入港する「万景峰92」号 |
海上保安庁の立入検査は、関係機関と合同で、密航・密輸等の犯罪を防ぐとともに、船内及び法定書類等の検査を行う目的で実施する。私の任務は、その一連の手続きの通訳を行うことである。
万景峰92号乗組員の口調が早いうえ、北朝鮮独特のイントネーションもあり、なかなか聞き取れないこともある。検査自体が長引いてくると、「何をやっているんだ。早くしてくれ。疲れているんだ。」と乗組員側の不満の矛先はすべて通訳官に向けられ、険悪な状況になっていく。しかしながら、このような状況でも乗組員に乗せられることなく冷静沈着に対処することが鉄則であり、検査についても妥協することは許されない。
この間、立入検査班は乗組員立会いのもと、船内などの必要な検査を確実に実施しており、慌ただしく各区画から立入検査班長に検査終了の報告があがってくる。
▲「万景峰92」号へ乗船する立入検査班 |
しばらくすると、関係機関の責任者により検査終了が確認され、万景峰92号船長に、検査が終了し法令違反などがなかった旨を伝え、立入検査を終了した。
立入検査班における通訳官の任務として、班長の指示により通訳を行うが、私が話した言葉がそのまま日本国海上保安庁の言葉となることから相手に誤解を招かないように十分な配慮をする必要があるため、今後も的確な通訳ができるように腕を磨くことが私の目標である。
(現在、日本政府としては、すべての北朝鮮籍船の入港禁止措置など(平成18年10月13日発表)を講じているところである。)