●海洋法条約による大陸棚の定義
国連海洋法条約では、沿岸国は沿岸(領海基線)から200海里までの海底及び海底下を「大陸棚」とするとともに、海底の地形・地質が一定の条件を満たす場合、国連の勧告に基づき、200海里を超えて大陸棚の限界を設定することが可能とされています。
沿岸国は、大陸棚に対して、探査し、その天然資源を開発するための主権的権利を行使することができます。沿岸国以外の国や機関は、沿岸国の同意なしに、沿岸国の大陸棚に対して探査及び天然資源の開発を行うことができないことから、200海里を超えて大陸棚を設定するための調査(大陸棚の限界画定のための調査)は、まさに我が国の海洋権益を確保するための大変重要な施策です。
200海里を超えて大陸棚の限界を設定するためには、国連「大陸棚の限界に関する委員会」へ、大陸棚の地形・地質に関するデータなど、大陸棚の限界に関する情報を提出し、審査を受ける必要があり、我が国の場合は、平成21年5月までに提出しなければなりません。
このため、平成14年6月、内閣に「大陸棚調査に関する関係省庁連絡会議」を設置して関係省庁の連携を図り、平成15年6月に同連絡会議の下に、大陸棚調査の調査内容などについて専門的見地からの評価・助言を得ることを目的として、海洋科学及び国際法に関する有識者で構成する「大陸棚調査評価・助言会議」が設置されました。さらに、同年12月、内閣官房に大陸棚調査に係る政府の施策の統一を図るために必要な総合調整を行うことを目的とした「大陸棚調査対策室」が設置されました。
その後、平成16年8月に「大陸棚調査に関する関係省庁連絡会議」が、内閣官房副長官を議長とする「大陸棚調査・海洋資源等に関する関係省庁連絡会議」に改組され、「大陸棚画定に向けた基本方針」が策定されました。
海上保安庁では、同基本方針に基づき、関係省庁との緊密な連携を図り、引き続き、国連へ提出する我が国の大陸棚の限界画定に必要な周辺海域の地形・地質に関するデータを整備するために、必要な調査を実施しているところです。