(1)竹島問題
▲竹島 |
▲韓国警備艇から日本漁船を保護する 巡視船 |
我が国は、明治38年1月の閣議決定、それに続く島根県告示による竹島の島根県への編入措置により、近代国家として竹島を領有する意思を再確認しました。
戦後の占領下、連合国軍総司令部の覚書により、竹島には我が国の行政権が行使し得ず、また、我が国漁船の操業区域を規定した「マッカーサーライン」の外側にあったことから、漁船も付近海域で操業することができませんでした。
韓国は、サンフランシスコ平和条約の締結に伴う、マッカーサーラインの撤廃前に、自国水産業の保護と称して昭和27年に「海洋主権宣言」を発し、竹島を取り込んだ「李承晩ライン」を設定し、日本漁船の締め出しを行いました。
政府は、直ちに韓国側へ抗議を行い、海上保安庁では、銃撃をも伴う韓国側の激しい取締りから我が国漁船を保護するため、政府方針に基づき、巡視船を派遣し、漁船と韓国警備艇との間に割って入り煙幕を使用したり、巡視船が漁船を横抱き又はえい航して脱出する、あるいはだ捕寸前の漁船に接舷して、最悪でも乗組員だけは救出するなどの困難な作業により、懸命にだ捕防止に努めました。
韓国は、昭和29年7月から竹島に警備隊員を常駐させるとともに、宿舎、灯台、監視所、アンテナ等を設置し、平成9年11月には、500トン級船舶が利用できる接岸施設を、平成10年12月には、有人灯台を完工させるなど、施設を年々増設しながら、現在に至っています。政府は、竹島は歴史的事実に照らしても、かつ、国際法上も明らかに我が国固有の領土であるという一貫した立場を堅持する一方、竹島問題は平和的に解決されるべきであり、外交ルートを通じて粘り強く解決を図る方針を示しています。
海上保安庁では、この政府方針に従い、竹島周辺海域に常時巡視船を配備して監視を続けるとともに、我が国漁業者の安全確保の見地から被だ捕の防止指導等を行っています。
(2)我が国の排他的経済水域における不法操業
我が国の排他的経済水域における韓国漁船による不法操業が後を絶ちません。
▲巡視艇と韓国警備艇に挟まれた 502シンプン号 |
▲強行接舷する巡視艇 |
韓国漁船に限らず、最近は、我が国の排他的経済水域における外国漁船による密漁が悪質・巧妙化しています。海上保安庁では、外国漁船による不法操業は、我が国の主権的権利を侵す重大な犯罪と考えており、引き続き厳しく取り締まります。
我が国の排他的経済水域における外国人の漁業等に関しては「排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律(EZ漁業法)」が制定されています。EZ漁業法では、外国漁船は、我が国の許可を受けなければ排他的経済水域において漁業を行うことができないことや、海上保安官等は漁船への立入検査等を行うことができ、これを忌避すると罪となる漁業法の規定を外国漁船にも適用すること、また、EZ漁業法に違反した場合には、担保金(ボンド)を提供すれば早期に釈放されること(早期釈放制度(ボンド制度))などが規定されています。
早期釈放制度(ボンド制度)は、国連海洋法条約により定められ、排他的経済水域において、沿岸国は、国内法令の遵守を確保するためにだ捕などの必要な措置をとることができ、漁業活動についてだ捕された船舶及び乗組員について、保証金の支払いなどがあった後には速やかに釈放することを義務付けています。
これを受け、我が国においても、EZ漁業法において、同法の規定に違反した罪などに当たる事件に関してだ捕した場合は、担保金又はその提供を保証する書面が提供されれば、遅滞なく違反者を釈放することとし、事件に関する手続きにおいて定めた期日、場所に違反者が出頭しなかったときは、提供された担保金は、国庫に帰属することと規定しています。
502シンプン号による立入検査忌避事件については、出頭期日に502シンプン号の船長が出頭しなかったことから、提供された担保金50万円は、国庫に帰属することとなりました。
(3)日本海呼称問題
「日本海(Japan Sea)」の名称は、海上保安庁が刊行する海図や国土地理院が刊行する地図はもとより、各国海洋情報機関が海図を作成する際のガイドラインとしてIHOが刊行する「大洋と海の境界」にも掲載され、国際的に確立された唯一の名称として認知されています。
歴史的に見ると、「日本海」という名称は、1602年の「坤輿万国図(こんよばんこくず)」に初出したと言われ、以降、17世紀から西洋の地図によく見られるようになりました。18世紀後半から19世紀の初めにかけて日本海の名称は、当該海域を示す単一の名称として国際的に確立しました。
しかし、平成4年に開催された第6回国連地名標準化会議以降、韓国は、「日本海」という名称は我が国が行った植民地政策に基づくものであり「日本海」を「東海(East Sea)」に改称すべき、あるいは「日本海」と「東海」と併記すべきとの誤った主張を様々な国際会議などの場で繰り返しています。
我が国としては、航行安全の確保や経済社会活動における意思疎通の混乱回避などの観点からも、「日本海」が国際的に確立した唯一の名称であり続けるように万全の対応をとることとしています。
また、国際社会の対応としても、日本政府の照会に対する国連本部事務局の回答(平成16年3月10日)にあるように、「国連公式文書では標準的な地名として「日本海」が使用されなければならない」との方針が公式に確認されています。