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1. 海を繋ぐ連携 はじめに
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▲東京湾で衝突・炎上するLPGタンカー |
我が国は周囲を海で囲まれているため、海を介してロシア、中国、韓国などの周辺国と接しています。その海を舞台に活動する海上保安庁では、これまで常に諸外国との関係の中で業務を遂行してきました。
海上保安庁が設置された昭和23年当時の重要課題は、密輸・密航等の犯罪の横行、米軍及び旧日本軍の敷設した機雷の脅威、灯台その他の航行援助施設の荒廃などの惨憺たる状況に加え、しばしば海賊の横行すら伝えられた、まさに「暗黒の海」と化していた我が国沿岸海域の安全及び治安の確保を図ることでした。しかし、その後は、高度経済成長に伴う海上輸送の重要度の増加、昭和52年の200海里漁業水域の設定、昭和60年のSAR条約への加入、平成8年の「
海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)」発効による
排他的経済水域等の設定など、海上保安庁の責務と活動対象となる海域は拡大の一途をたどっていきました。
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▲船内で発見された密航者 |
最近は、中国、ロシア、インド等の経済発展、世界的な生産形態の変化、巨大市場の出現などダイナミックな経済の変化が見られる中、21世紀の成長センターであるアジアと日本の相互依存関係が深まっており、人・物・資金・情報の流れは益々大きくなっています。その一方で、国際社会におけるこうした活発な交流が、国際テロ、国際組織犯罪などを容易に行い得る環境を作り出していると指摘されています。
このように海上を取り巻く情勢が変化していく中で、我が国周辺海域における海上テロの未然防止、国際組織犯罪の摘発などにより治安を維持し、同時に海上交通の安全を確保することが我が国の安定した経済活動を支える上でも、極めて重要です。そのためには、海に接する周辺国の海上保安機関と治安、安全、救難、環境等の広い分野において連携・協力することが重要です。
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▲救助技術の移転(フィリピン) |
また、我が国にとって生命線ともいえる海上輸送ルートである東南アジア海域における海上交通の安全確保と治安の維持は、我が国への物資の安定供給という観点、また、我が国への密輸・密航の防止という観点から不可欠のものです。海上保安庁は、開庁以来約60年もの長期にわたり、警備救難、水路及び灯台の各業務を三位一体として所掌し、海上における治安、安全、救難、環境等に関する屈指の機関として世界各国から認識されており、海上保安庁が有する知識・技能を東南アジア各国に伝え、東南アジア周辺海域の海上保安能力の向上を支援することが最重要課題と考えています。
このような基本的な考え方に基づき、海上保安庁は国際的な取組みを戦略的かつ積極的に推進しています。その取組を大別すれば次の4つになります。
- 多国間連携
- 二国間連携
- 東南アジア諸国における海上保安機関の設立支援・技術移転等
- 国際機関等での貢献
ここでは、この4つの分野で具体的に行っている各国海上保安機関等との連携・協力の状況について紹介いたします。