日本最後のロランC局の閉局
本庁交通部
平成27年2月1日 午前9時零分、慶佐次ロランC局(沖縄県国頭郡東村)を閉局しました。これにより我が国のロランC局は全て閉局となりました。
ロランCとは、船舶が陸上無線局(ロランC局)から発信される電波を受信して位置を知るための地上系の測位システムでありLOng RAnge Navigationの頭文字をとったものです。(測位精度:約500m、有効範囲:日本周辺約2,000km)
慶佐次ロランC局は、十勝太ロランC局、南鳥島ロランC局等とともに北西太平洋ロランCチェーンとして昭和38年に米国が軍事運用開始し、昭和41年から米国コーストガードにより引継ぎ運用されました。当時、船舶が陸岸の見えない洋上を航行する場合の位置測定方法としては、太陽、星等の高度を測定することで船舶の現在位置を確認していました。この方法は、曇りや雨等の場合には位置測定ができなかったのですが、ロランCが運用開始されたことにより曇天時等においても現在位置を確認できるようになり、商船・漁船等多数の船舶が利用するようになりました。
その後、米国が人工衛星による測位システムであるGPSを整備することに伴い米国外のロランCチェーンの運用を終了する方針を示し、また、国内においては、引き続きロランCを利用したいとの要望が多数あったことから、平成5年、海上保安庁が米国コーストガードから北西太平洋ロランCチェーンを引継ぎ運用することとしました。
北西太平洋ロランCチェーンを引継ぎ後、日本周辺海域におけるロランCの利用範囲を拡大し利用者の利便を図るため、韓国、ロシア、中国との国際協力チェーンを構築し、平成12年には、これらの国々とロランCの運用に係る政府間協定*を締結しました。
このように広く利用されてきたロランCでしたが、近年、GPSの普及によりロランCの利用者が大幅に減少していることをふまえ、平成21年から国内にあるロランC局を順次閉局し、慶佐次ロランC局の閉局をもって国内全てのロランC局が閉局しました。
日本周辺海域の船舶の航行に広く貢献してきた日本のロランCですが、これらの経緯を経て、約50年に及ぶその歴史に幕を降ろすこととなりました。
ロランCの位置測定法 |
*「ロランC局及びチャイカ局の利用による極東水域における共同の無線航行業務の確立のための国際的な事業計画に関する中華人民共和国政府、日本国政府、大韓民国政府及びロシア連邦政府による協定」