海上保安レポート 2015

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 離島周辺や遠方海域における海上保安庁の活躍


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 交通の安全を守る

7 海をつなぐ


目指せ! 海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編

6 交通の安全を守る > CHAPTER II ふくそう海域・港内等の安全対策
6 交通の安全を守る
CHAPTER II ふくそう海域・港内等の安全対策

海上保安庁では、我が国周辺海域の海上交通の安全確保を図るため、各種取組みにより船舶事故の未然防止に努めています。特に、ふくそう海域においては航路を閉塞するような大規模海難の事故発生数を「ゼロ」とすることを目標として、海上交通センター等において24時間体制で的確な情報提供や航行管制に努めています。

平成26年の現況

港内や湾内等の船舶交通がふくそうする海域での船舶事故隻数は812隻と、船舶事故全体の約4割を占めており、過去5年では、若干の減少傾向にあります。これらの船舶の通航量の多い海域で事故が発生した場合には、人命、財産に対する直接的な影響のみならず、航路の閉塞等により国際貨物輸送のほぼ100%を海上輸送に頼る我が国の経済活動に大きな影響を及ぼすこととなるため、海上保安庁では次の取組みを実施しました。


1 一元的な海上交通管制の構築

津波等の災害発生時において、船舶への警報等の伝達、避難海域等の情報提供を迅速確実に実施するため、東京湾における海上交通センターと各港内交通管制室を統合のうえ、これら業務を一元的に実施するための体制の構築を推進しています。


一元的な海上交通管制のイメージ
一元的な海上交通管制のイメージ

2 ふくそう海域における安全対策

海上の交通ルールには、基本的なルールを定めた「海上衝突予防法」のほか、特別なルールとして東京湾・伊勢湾・瀬戸内海に適用される「海上交通安全法」、法令で定める港に適用される「港則法」があります。海上保安庁では、これらの法令を適切に運用することで海上交通の安全確保を図っています。

特に、海上交通の要所となっている東京湾・伊勢湾・瀬戸内海・関門海峡には、海上交通センターを設置して、航行船舶の動静を把握し、船舶の安全な航行に必要な情報の提供や、大型船舶の航路入航間隔の調整を行うとともに、巡視船艇との連携により、不適切な航行をする船舶や、航路を塞いでしまう船舶への指導等を実施しています。


ふくそう海域における安全対策
ふくそう海域における安全対策

3 港内における安全対策

港則法に基づき、全国の86港を特定港に指定し、船舶の入出港状況の把握、危険物荷役の許可、停泊場所の指定等を行い、港内の安全確保に努めています。


4 沿岸における安全対策

AISを活用した航行支援システムを運用し、日本沿岸において乗揚げや走錨のおそれのあるAIS搭載船に対して注意喚起や各種航行安全情報を提供しています。

今後の取組み

引き続き、レーダー監視機能の強化等による海上交通センターの機能充実、研修等の実施による運用管制官等の育成体制の強化等を推進しています。