四面環海の我が国は、海を愛し、海と共に発展を遂げてきた海洋国家であり、古くから「海」を物資輸送や食糧確保の場として活用してきました。近年では、メタンハイドレートを始めとする海洋資源の開発が進展しており、「海」は、日本の未来を切り開く、大きな可能性を秘めています。
我が国の領海及び排他的経済水域は、国土面積の約12倍、約447万平方キロメートルもの広さを誇り、さらに平成26年には、我が国初の延長大陸棚が設定され、海は更なる広がりを見せています。
このように広大な我が国周辺海域において、海上保安庁は、海上の安全及び治安を確保するため、領海警備、海洋の秩序維持、海難の救助、海上防災、海洋環境の保全、海洋調査、海上交通の安全確保等に従事しております。
さらに、我が国を取り巻く情勢は、時代とともに変化し、我が国周辺海域においては、近隣諸国等の海洋進出が活発化しており、我が国の主権が脅かされるような事案も発生しております。また、海賊対策や災害対応のように、世界各国が協力して対応すべき事案も発生しています。
しかしながら、これらの事案は、離島や遠方で発生することから、国民の皆様の目に触れる機会は決して多くはありません。
そこで、海上保安レポート2015では、離島周辺や遠方海域における海上保安庁の活躍と題して、「小笠原諸島周辺海域等における外国漁船への対応」、「尖閣諸島周辺海域における領海警備」、「海難・海上災害への対応」、「ソマリア沖・アデン湾及び東南アジア海域等における海賊対策」、「海洋権益の確保に向けて」について特集として紹介することとしました。
本書をお読みいただき、海上保安庁に対するご理解をより一層深めていただければ幸いです。
これからも、海上保安庁は、「正義仁愛」の精神のもと、海を愛し、国民の皆様の期待にこたえられるよう業務を遂行してまいります。