|
護衛艦上で監視警戒にあたる派遣捜査隊 |
近年の海賊及び海上武装強盗(以下「海賊」という。)事案は、世界各国や海事関係者の懸命な取組みにより減少傾向にあるものの、引き続き、ソマリア沖・アデン湾や東南アジア海域等において発生しています。主要な貿易のほとんどを海上輸送に依存する我が国にとって、航行船舶の安全を確保することは、社会経済や国民生活の安定にとって必要不可欠であり、極めて重要な課題です。
海上保安庁では、海賊対処のために派遣されている海上自衛隊の護衛艦への海上保安官の同乗のほか、ソマリア沖・アデン湾や東南アジア海域等の沿岸国海上保安機関に対する法執行能力向上支援等により、海賊対策を実施しています。
平成26年のソマリア沖・アデン湾における海賊発生件数は11件であり、各国海軍による海賊対処活動、商船側による乗り込み防止のための自衛措置、民間武装警備員の乗船等が相まって功を奏し、近年のピーク時である平成23年の237件と比較して極めて低い水準となっています。しかしながら、ソマリア海賊を生み出す貧困等の根本的な原因は解決しておらず、依然として同海域は予断を許さない状況が続いており、国際社会がこれまでの取組みを弱めれば、状況は容易に逆転するおそれがあります。
海上保安庁では、海賊対処のために派遣された海上自衛隊の護衛艦に海上保安官8名を同乗させ、海賊の逮捕、取調べ等の司法警察活動に備えつつ、自衛官とともに海賊行為の監視、情報収集等を行っており、平成21年に第1次隊を派遣して以降、平成26年度末までに、合計21隊168名を派遣しています。
平成26年12月には、アフリカのセーシェル共和国との間で、海賊と疑われる者の引渡し等に関する日・セーシェル覚書への署名がなされました。これに伴い、今後、同国への引渡しも想定されることから、国際飛行慣熟や連携・協力関係の構築のため、平成27年3月、海上保安庁の航空機を同国へ派遣し、関係機関へ引渡しの際の迅速かつ円滑な対応に係る協力依頼等を行いました。
また、平成25年11月に施行された「海賊多発海域における日本船舶の警備に関する特別措置法」に基づき、小銃を所持して警備を行う民間武装警備員の技能確認や対象船舶の我が国入港時の立入確認等、同法の的確な運用に努めています。
さらに、海上保安庁では、これらの取組みのほか、同海域の沿岸国海上保安機関が自立的に海賊対処等の法執行活動が行えるよう、同機関職員に対する能力向上等のための支援を行っています。(ソマリア沖・アデン湾の沿岸国海上保安機関への能力向上支援については、「ソマリア沖・アデン湾の沿岸国海上保安機関への法執行能力等向上支援」で詳しく説明していますので、ご覧ください。)
|
|
護衛艦に同乗している海上保安官(右から2人目) |
|