海上保安レポート 2011

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 新たな海洋立国に向かって


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 領海等を守る

3 生命を救う

4 青い海を護る

5 災害に備える

6 海を識る

7 交通の安全を守る

8 海を繋ぐ


目指せ! 海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編


おわりに

1 治安の確保 > COLUMN Vol.04 新旧巡視艇のコラボで密航船を捕捉!
1 治安の確保
COLUMN Vol.04
新旧巡視艇のコラボで密航船を捕捉!第七管区海上保安本部
巡視艇「ことざくら」
▲巡視艇「ことざくら」
密漁船を捕捉した巡視艇「たつぐも」
▲密漁船を捕捉した巡視艇「たつぐも」

平成22年5月14日未明、韓国の港を出港した小型高速船が長崎県平戸市の港に入港、韓国人ら6名を不法に入国させるとともに、不法に日本に住んでいた韓国人8名を乗せて、韓国向け出港するという不法入出国事件が発生しました。

関係捜査機関の緊密な連携・協力により、佐世保海上保安部と長崎県警察は、密出入国者等16名を逮捕、その後は警視庁、千葉県警察等との合同捜査本部により密航ブローカーを特定のうえ逮捕し、暗躍する密航組織を一網打尽にした過去に例のない事件となり、マスコミの注目を浴びました。

この事件で、最初に密航船を捕捉したのは、対馬海上保安部所属の巡視艇「たつぐも」でした。「たつぐも」は最新鋭の巡視艇で、高速でジグザグ逃走する密航船を追跡し、捕捉したのです。

そして、この捕物劇の一助を担ったのが、佐世保海上保安部所属の巡視艇「ことざくら」でした。「ことざくら」は船齢25年を超えた老朽船であり、速力が遅いため、高速で逃走する密航船から引き離される状況でした。このため「ことざくら」は、密航船の動静把握に全力を注ぐこととし、無灯火で不審な動きをする密航船を双眼鏡やレーダー等で絶え間なく捉え、その状況を配備中の巡視船艇・航空機に逐次報告し、追跡を引き継いだ「たつぐも」が捕捉したのです。

「ことざくら」は昭和60年2月に就役し、その後26年間、佐世保海上保安部を基地として現場で活躍してきましたが、平成23年2月に解役となり、一線から退きました。

「できることはしっかりやる。情熱を持って業務に取り組む。」

この海上保安官魂は、新造の「ことざくら」へ引き継がれました。治安の維持、犯罪の根絶等のため、次は新型巡視艇としての役割を果たします。