海上保安レポート 2011

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 新たな海洋立国に向かって


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 領海等を守る

3 生命を救う

4 青い海を護る

5 災害に備える

6 海を識る

7 交通の安全を守る

8 海を繋ぐ


目指せ! 海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編


おわりに

1 治安の確保 > ChapterII 国内密漁対策
1 治安の確保
ChapterII 国内密漁対策

私たちの生活は、水産資源等、海から多くの恩恵を受けています。この水産資源豊富な日本の海を未来につなぐため、漁獲量を制限したり、操業区域や操業期間を限定するなどのルールが定められていますが、一部の漁業者や密漁グループによる水産資源の乱獲は跡を絶ちません。

海上保安庁では、こうした違法操業や密漁の根絶を目指し、関係機関等と連携・協力して監視取締りを行っています。

平成22年の現況
■国内密漁事犯の推移
国内密漁事犯の推移

平成22年の密漁事犯の送致件数は2,193件でした。

平成22年1月、姫路港付近での密漁情報をもとに、姫路海上保安部、関西空港海上保安航空基地が連携して取締りを実施中、夜間、無灯火で潜水器密漁を行っている漁船を発見、瀬戸内海を高速で逃走する密漁船を約6時間、約370kmにわたり巡視艇・航空機にて追跡、岡山県倉敷市内の漁港において、密漁者3名を漁業法、水産資源保護法違反容疑で現行犯逮捕、神戸地方検察庁姫路支部に身柄付送致しました。

その後の捜査で、密漁した「なまこ」の流通経路が明らかになり、5,000万円にも上る不法収益を得ていたことが判明し、常習的な「なまこ」密漁の全容を解明しました。

姫路港で操業中の密漁船(航空機から撮影) 密漁されたなまこ
▲姫路港で操業中の密漁船(航空機から撮影) ▲密漁されたなまこ

今後の取組み
押収された密漁資機材
▲押収された密漁資機材

密漁事犯は、水産資源の枯渇が懸念されるばかりか、暴力団への資金供給につながっているものもあり、国民の安全・安心な生活に対する脅威となり得るものです。これまでも悪質密漁事犯の摘発に取り組んできましたが、今後もさらなる情報収集の強化に努めるとともに、暗視撮影装置等の監視取締資器材を最大限に活用し、現場での対処能力の向上を図ります。

また、関係機関や漁業関係団体と緊密に連携し、一層の密漁防止対策の強化を行います。さらに、地域の特性に応じた総合的な密漁対策を推進し、漁業秩序の維持及び水産資源の保護に努めます。