薬物・銃器の密輸入や外国人の密航は薬物の乱用や銃器犯罪、密航者による凶悪犯罪等につながりかねないため、我が国の治安にとって大きな脅威です。
また、これらの犯罪により不法に得られた利益が暴力団の資金源となっていることも指摘されています。海上保安庁では、密輸・密航事犯等を摘発し、薬物・銃器や密航者の流入を水際で阻止していきます。
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1 治安の確保
ChapterIV 密輸・密航対策
薬物・銃器の密輸入や外国人の密航は薬物の乱用や銃器犯罪、密航者による凶悪犯罪等につながりかねないため、我が国の治安にとって大きな脅威です。 また、これらの犯罪により不法に得られた利益が暴力団の資金源となっていることも指摘されています。海上保安庁では、密輸・密航事犯等を摘発し、薬物・銃器や密航者の流入を水際で阻止していきます。 1 密輸事犯について 平成22年の薬物事犯の摘発件数は10件であり、前年より3件減少しています。また、銃器事犯の摘発件数は2件と前年より1件減少しています。 平成22年の主な事案としては、11月、関係機関から室蘭港において覚せい剤発見の連絡を受けた第一管区海上保安本部は、警察・税関と合同で捜査を実施し、覚せい剤約5キロ(4億5,000万円相当)の密輸に関与した船員等を逮捕しました。 この事案では、船員が証拠隠滅のため海中投棄した証拠物を潜水士が発見・揚収するなど、粘り強く捜査を継続し、当該船員の関与を明らかにしました。 このほかにも、関係機関と合同で外国船舶に対する厳正な立入検査を行い、船員による大麻や準空気銃の不法所持事犯を摘発しています。
2 密航事犯について 平成22年の密航事犯の摘発件数は4件、摘発者数は不法入国者10名、不法入国手引者8名、不法出国者12名、不法出国手引者5名でした。前年に比べ、摘発件数は1件減少、不法入国者は1名減少、不法入国手引者は6名増加、不法出国者は8名増加、不法出国手引者は2名増加となりました。不法出入国者を国籍別で見ると、近年の傾向である韓国人によるものが不法出入国者のうち約7割を占めています。 平成22年の主な事案としては、かねてから警察及び入国管理局と連携して密航事犯にかかる捜査を実施していたところ、5月、長崎県平戸において、韓国人4名及びイラン人2名が高速小型船で不法入国し、入れ替わりに韓国人8名が同船に乗船し韓国に向け不法出国したため、韓国人船長等を含む計16名を出入国管理及び難民認定法違反(不法入国、不法出国等)で逮捕しました(コラムで紹介)。 近年、密航事犯は小口化・巧妙化が顕著であり、国内外の密航斡旋ブローカーの指示により密航者を運搬する船員が、高速小型船や小型の漁船等により夜間、人目につきにくい地方漁港を狙うなどの手口が見られます。
引き続き、薬物・銃器等の洋上取引や密航者の受渡しが行われる可能性のある海域において、巡視船艇・航空機による監視・警戒を重点的に実施します。また、それらの犯罪の蓋然性が高い地域から来航する船舶についても重点的に監視と立入検査を行います。 さらに、国際組織犯罪対策基地職員を中心に国内外の関係機関との協力を強化しつつ、保安部署等の職員においては海事・漁業関係者や地元住民からの情報提供を有効に活用して、密輸・密航事犯の根絶に取り組んでいきます。 |