海上保安レポート 2004

●はじめに


■TOPICS 海上保安の1年


■特集1 海洋権益の保全とテロ対策

■特集2 海保の救難


■本編

治安の確保

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

航海を支える

海をつなぐ連携


海上保安庁の業務・体制


海を仕事に選ぶ


海保の新戦力


その他


資料編


 
本編 > 治安の確保 > 7 不審船・工作船対策
不審船・工作船対策

 平成13年12月の「九州南西海域における工作船事件」で爆発・沈没した工作船は、平成10年平成13年12月の「九州南西海域における工作船事件」で爆発・沈没した工作船は、平成10年に発生した「漁船「玉丸」による覚せい剤密輸入事件」の際に、日本の暴力団関係者に覚せい剤 を渡した「第十二松神丸」と同一船舶であることが分かりました。これにより、武器を装備した 工作船が我が国周辺海域を徘徊し、薬物の密輸など重大な犯罪を起こし、我が国の治安を脅かしていたことが明らかとなりました。
 このため、海上保安庁では、我が国沿岸海域における不審船・工作船の活動を未然に防止する とともに、その行動目的や行動実態の解明に万全を期することとしており、このことが我が国の治安の向上につながるものと考えています。

目 標

 海上保安庁は、関係機関や沿岸住民の協力のもと、巡視船艇・航空機の警戒による不審な船舶に対する監視を強化するとともに、発見した際はこれを確実に停船させて立入検査を実施し、犯罪を認めた場合には犯人の逮捕等適切な捜査活動を行うことで、海上における公共の安全の確保と秩序の維持を目指します。

平成16年の状況

 海上保安庁では、これまでに21隻の不審船・工作船を確認してきましたが、今後も海上における第一義的な法執行機関として適切に対処する必要があることから、これら不審船・工作船事案を踏まえ、海上保安官の安全の確保と不審船・工作船への的確な対応が行えるよう対策の強化を進めています。
 平成16年度においては、不審船事案に的確に対応するため、不審船・工作船追跡能力の向上、情報通信・監視能力の強化、現場対処職員の安全確保のための防弾対策や武器の高機能化を図った巡視船として、高速高機能大型巡視船1隻(「あそ」)及び高速特殊警備船3就役しました。
 これにより不審船対応を主目的に配備した巡視船は合計7隻となり、日本海及び東シナ海における不審船対応能力が強化されました。
 また、これらの巡視船を中心とした不審船対応能力向上のための各種訓練を実施するとともに、海上自衛隊との間で共同訓練を実施しています。
 このほか、関係機関や海守*1などの民間ボランティアとの情報交換を緊密化することにより、不審船発見に係る情報収集体制の強化を図り、不審船の早期発見に努めています。

高速特殊警備船「ほうおう」
▲高速特殊警備船「ほうおう」

今後の取組み

 海上保安庁は、不審船・工作船対策として、今後も装備の充実を図り、また、不審船対応能力の向上を目的とした各種訓練を実施します。このほかに、関係機関等との連携をなお一層強化して、不審船・工作船の早期発見及び発見時の厳格な対処に努めていきます。