海上保安レポート 2004

●はじめに


■TOPICS 海上保安の1年


■特集1 海洋権益の保全とテロ対策

1 領海警備と海洋権益

2 テロ未然防止のための取組み

■特集2 海保の救難


■本編

治安の確保

生命を救う

青い海を護る

災害に備える

海を識る

航海を支える

海をつなぐ連携


海上保安庁の業務・体制


海を仕事に選ぶ


海保の新戦力


その他


資料編


 
特集1 > 海洋権益の保全とテロ対策
海洋権益の保全とテロ対策

海洋権益の保全とテロ対策
 皆さんが安全で、安心して暮らせる社会を実現することは、行政の最も基本的な責務であります。この責務を果たすためには、老後の不安、病気の心配、倒産や失業へのおそれ、災害や治安への心配など様々な問題に対処していかなければなりません。その中でも特に治安の悪化は、安全で安心して暮らせる社会の実現の妨げとなる最たるものといえます。
 しかしながら近年、様々な凶悪犯罪の多発等により「世界一安全な国、日本」に対する国民の信頼が低下しているのが現状です。このため、政府一体となって治安対策に全力で取り組んでいます。このような中、急増している国際組織犯罪、国民の不安が増しつつある国際テロ等に対して、関係行政機関の緊密な連携を確保するとともに、有効適切な対策を総合的かつ積極的に推進することを目的として、平成16年8月、内閣に既に設置されていた「国際組織犯罪等対策推進本部」を改組し新たに「国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部(本部長:内閣官房長官)」が設置されました。平成16年12月、同推進本部では「テロの未然防止に関する行動計画」を策定し、政府をあげてテロの未然防止策を強力に推進しているところです。海上保安庁では、同計画に基づき、今後速やかに講ずべきテロの未然防止対策として、テロリストを入国させないための対策の強化、テロリストを自由に活動させないための対策の強化、重要施設等の安全を高めるための対策の強化、テロリスト等に関する情報収集能力の強化等について関係省庁と検討を行っています。
 また、最近では東シナ海の日中中間線付近において中国が開発している「春暁」など、石油又はガスが含まれる地質構造が日本側海域に広がっている可能性が高いことが判明し、また平成16年11月の中国原子力潜水艦による日本領海侵犯事案の発生、活発化する我が国周辺海域における中国海洋調査船の活動、大陸棚の限界画定のための調査など、領海や排他的経済水域等における我が国の海洋権益に関する対応の必要性が高まっています。このような状況を踏まえ、国連海洋法条約に基づき200海里を超えて認められる大陸棚の画定及び排他的経済水域の画定に必要な措置並びに海洋資源等に関する施策について、関係省庁間の緊密な連携を図り、これを着実に推進するため、平成16年8月、内閣に既に設置されていた「大陸棚調査に関する関係省庁連絡会議」を改組し新たに「大陸棚調査・海洋資源等に関する関係省庁連絡会議(議長:内閣官房副長官)」が設置されました。海上保安庁においても海洋国家日本の権益を確実に保全するため、海域における各種の対策・措置を講じているところです。
 特集1では、「海洋権益の保全とテロ対策」と題し、歴史的背景も併せて、海上保安庁の主な取組みについて紹介します。
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