海上保安レポート 2004
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本編 > 特集 > 3 > 6 領海警備


現状
 我が国固有の領土である「北方領土」、「竹島」、「尖閣諸島」では、これまで様々な場面でその領有権について周辺国と問題が発生するたびに、これらの島々が我が国の固有の領土であることを内外に明らかにしてきました。しかし、ロシア、韓国による不法占拠、中国、台湾の活動家などによる領有権主張活動などがいまだに続いたままとなっています。このような島々の領有権に関する問題は、領土に加えて領海及び排他的経済水域といった漁業を中心とした経済面での国益が密接に影響します。さらに大陸棚の限界画定においても島々の領有権のあるなしにより権利の行使にも大きく影響します。
 このような我が国周辺国の動きに対して、我が国固有の領土を守り、さらにはその周辺海域における周辺国の不法行動に対して我が国の姿勢を明示していくことが求められます。

対策
 北方領土については、周辺海域が好漁場であり、小型漁船でも容易に出漁できる距離にあることから、ソ連時代から現在に至るまで、ソ連・ロシアが主張する領水*1に無許可で侵入したり、許可内容に違反してだ捕される日本漁船は後を絶ちません。日本政府は、ロシアに対し日本固有の領土であることを主張、四島全ての帰属問題について精力的な交渉を継続しており、海上保安庁では、こうした政府方針に基づき、だ捕等の発生が予想される北海道東方海域のロシア主張領海線付近等に常時巡視船艇を配備し、出漁船に対し直接、又は、漁業協同組合等を通じて被だ捕の防止指導等を行っています。
 また、竹島については、韓国が李承晩ラインを設定後の昭和29年頃から、灯台の用に供する構造物の建設、警備隊員の常駐等により不法占拠が続けられています。政府は、竹島は歴史的、国際法的に見ても我が国固有の領土であることは不変であるという一貫した立場を堅持する一方、竹島問題は平和的に解決されるべきであり、外交ルートを通じ粘り強く解決を図る方針を示しています。海上保安庁では、この政府方針に従い、竹島周辺海域に常時巡視船を配備して監視を続けるとともに、我が国漁業者の安全確保の見地から被だ捕の防止指導等を行っています。
 さらに、尖閣諸島については、昭和43年に日本、韓国及び台湾の海洋専門家等がECAFE*2(国連アジア極東経済委員会)の協力を得て東シナ海一帯にわたって海底の学術調査を実施した結果、東シナ海の大陸棚には石油資源が埋蔵されている可能性が指摘され、これを契機に、昭和46年以降、中国、台湾が同諸島の領有権を公式に主張し始めました。平成8年7月に国連海洋法条約が我が国について発効し、排他的経済水域が設定されたことに伴い、漁業活動への影響が生じたことに伴う不満等から、度重なる領有権主張活動が展開されました。平成14年4月、政府による魚釣島、南小島、北小島の所有者からの借上げ措置に対する中国、台湾からの反発など領有権主張活動が活発に続けられていますが、これらの活動への厳格な対応のため、海上保安庁では尖閣諸島周辺海域に常時巡視船を配備し、また、定期的に航空機をしょう戒させるとともに、関係省庁と連絡を密にしながら外国船舶による領海侵犯、不法上陸等に対する警備に当たっています。加えて、大規模な領有権主張活動が行われる場合には、全国から巡視船艇・航空機を動員するなど万全な体制で領海警備を政府方針に従い行うこととしています。