海上保安レポート 2011

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 新たな海洋立国に向かって


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 領海等を守る

3 生命を救う

4 青い海を護る

5 災害に備える

6 海を識る

7 交通の安全を守る

8 海を繋ぐ


目指せ! 海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編


おわりに

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目指せ! 海上保安官
海上保安大学校

海上保安大学校は、広島県呉市にあり、将来の海上保安庁の幹部となる職員として必要な高度な学術及び技能を教授し、併せて心身の練成を図ることを目的として設置された海上保安庁の教育機関です。教育内容は、一般大学と多くの共通点を持ちながらも、広範にわたる海上保安業務の職責を全うするための資質を培いながら、将来に向かって自分の可能性を伸ばそうとするフロンティア精神を養成するもので、優れた人格とリーダーシップの育成、高い教養と見識の修得、強靱な体力・気力の錬成の3つを教育方針に掲げています。


教育体系

教育期間は本科4年、専攻科6か月及び研修科(国際業務課程)6か月の合計5年間です。学生は本科4年間を通じて海上保安業務を遂行するために必要な 知識・技能を修得します。授業は、一般教養科目のほか、行政法、国際法、刑法などの法律関係や海上保安行政関係の学問を中心に行われ、また、2学年後期からは、第I群(航海)、第II群(機関)又は第III群(情報通信)のいずれかを選択し、船舶の運航に必要となる専門的な知識を修得します。

※平成23年度から実施予定


カリキュラム
■基礎教育科目(本科1・2年次)

幅広い教養を身につけます。

必修科目

哲学、文学、歴史学、法学、憲法、経済学、行動科学、数学、統計学、物理学、物理学実験、化学、化学実験、英語、英会話、保健体育

選択科目

ロシア語、中国語、韓国語から1科目選択/柔道、剣道から1科目選択


■専門基礎科目

専門教育を受けるため、まずは必要な基礎能力を身につけます。

必修科目

国際政治、政策科学、情報科学、情報処理実習、気象学、海洋学、実務英語

選択科目

● 航海概論

第II群(機関)、第III群(情報通信)専攻者受講

● 機関概論

第I群(航海)、第III群(情報通信)専攻者受講

● 通信概論

第I群(航海)、第II群(機関)専攻者受講


■専門教育科目(本科2年次から)

複雑化・国際化している海上保安業務に対応するために必要な、高度な専門能力を身につけます。

必修科目

行政法、国際法、民事法、刑法、刑事訴訟法、海上保安制度論、海上犯罪捜査論、犯罪捜査論演習、捜索救助論、捜索救助論演習、環境防災論、海上交通政策、特別研究

分野別科目(第一選択分野、第二選択分野のいずれか)

● 第一選択分野

海上取締法、海上犯罪論、警察管理政策、警察管理政策演習、国際紛争論、国際紛争論演習、国際海洋法

● 第二選択分野

海上交通工学、海上交通政策演習、システム工学、海上安全工学、海上安全工学演習、国際海上安全政策、海難救助工学、海上防災工学


学生生活

学生は全員、学生寮(三ツ石寮・麗女寮)で生活します。寮での生活は、各学年1人ずつ4人からなる自習室単位で行われ、規律ある団体生活を送ります。また、寮の運営も週番交代による当直学生により行われます。寮内には自習室、寝室、食堂、図書室等のほか、各階には学生の憩いの場として談話室が設けられています。さらに、福利厚生施設として医務室、理容店・売店等が完備されています。学生は、この団体生活を通じて、生涯の友を得、相互練磨とリーダーシップを体得していきます。

年間行事

乗船実習

練習船「こじま」に乗船し、授業で習得した船舶運航の知識、技能を実際の船上で実践し、現場に即応できる業務遂行能力を身につけます。

実習海域

● 本科3年

瀬戸内海・本州・北海道・四国・九州・南西諸島沿岸及び 近海

● 本科4年

瀬戸内海・本州南東岸・四国・九州沿岸及び近海

● 専攻科

世界一周

訓練科目

逮捕術、潜水等の特殊技能を身につけます。

必修科目

けん銃、武器、水泳、潜水、救急安全法、端艇、信号、逮捕術、総合指揮

実習科目

小型船舶の操船技術や通信技術を身につけます。

必修科目

小型船舶基礎、通信法

第III群(情報通信)専攻者必修科目

基礎通信論、応用通信論、電気通信法規、通信実技、国際通信実習

専攻科(6か月) 及び 研修科(6か月)

本科4年間での教育が終わると、専攻科へ進み、世界一周の航海実習の後、研修科(国際業務課程)において、語学を中心とした国際対応能力や実践的な海上保安業務に関する知識を修得します。


卒業後の進路

研修科(国際業務課程)修了後は初級幹部として全国の巡視船で勤務し、海難救助、海上犯罪の取締り等の業務に従事します。また、希望と適性により、航空機のパイロットとしての教育を受けた後、航空要員として海上保安業務に従事します。この他、内閣官房等他の省庁への出向や、海外の大使館・領事館、国際機関で働く職員もいます。その後、基本的には海上勤務、陸上勤務を交互に経験しながら、海上保安官としてのキャリアを身につけ、管区海上保安本部、保安部及び大型巡視船などの長等、海上保安庁の幹部として海上保安行政を担っていきます。