海上保安レポート 2011

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 新たな海洋立国に向かって


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 領海等を守る

3 生命を救う

4 青い海を護る

5 災害に備える

6 海を識る

7 交通の安全を守る

8 海を繋ぐ


目指せ! 海上保安官


語句説明・索引


図表索引


資料編


おわりに

目指せ! 海上保安官 > 日本の海を守る若者たち!
目指せ! 海上保安官
日本の海を守る若者たち!

【第一管区】
小樽海上保安部 巡視船しれとこ主計士補
前田 俊介

(平成17年 海上保安学校卒)


私は警備実施等強化巡視船である「しれとこ」に乗船し、特別警備隊の隊員として、海上におけるテロ行為やデモ行為、凶悪犯罪等の不測の事態に備え、けん銃射撃訓練、制圧訓練、高速ゴムボート操船訓練等に日々励むとともに、主計科職員として乗組員の食事の調理や庶務などを担当しています。その他、密漁取締り等の事件捜査や人命救助及び海洋環境啓発活動等、多種多様な業務に携わることができ、非常にやりがいを感じています。

【第二管区】
仙台航空基地 飛行士
福田 由香里

(平成18年 海上保安学校卒)


私は副操縦員としてヘリコプターに搭乗しています。業務は航空機を使ったあらゆる海上保安業務です。海上のパトロールや船からの吊り上げ救助のほか、密漁取締の一端を担ったり、沿岸にゴミが落ちていないかを調べる環境保全活動を行ったりします。また、訓練も重要な業務です。航空機乗組員は、全国各地への転勤となるので、地方ごとの特色を体験することができます。同じ日本といえども北と南では食文化や言葉が異なっており、それぞれの勤務地でたくさんの発見があります。

【第三管区】
横浜機動防除基地 防除措置官
堀ノ内 宏行

(平成14年 海上保安大学校卒)


機動防除隊は、油等の海上流出が発生した際に現地へ出動し、汚染の局小化のための措置や、同措置を円滑に行えるよう関係者に対して指導・助言等を行うほか、全国の防災研修・訓練において講師を務めるなどの防災業務を行っています。

化学物質を積載した船舶海難の対応で出動した際、流出油への対応にも迫られた状況で、有毒ガスの検知方法や隊員に対する作業時の安全管理の検討等を行い、現場対応の困難さや責任の重さを改めて感じた一方、事態の収束に向けて自ら現場で様々な活動を行える点にやりがいを感じました。

【第三管区】
羽田特殊救難基地 隊員
田代 司

(平成19年 海上保安学校卒)


特殊救難隊は高度な救助技術と専門的知識を必要とする救難業務を任務としています。私は特殊救難隊に入り研修隊で実施した訓練で、知識や技術の向上もさることながら、自分の体力を限界まで追い込む訓練をしました。何度も「もう駄目だ」、「もう限界だ」という場面がありましたが、気持ちを強く持ち、リカバリーするのも自分しかいないという「負けない気持ち」が一番大切だと実感しました。今後も訓練を重ね「負けない気持ち」を根底に限界を見極め、冷静に判断し、厳しい現場でも安全・確実・迅速な救助活動に取り組み、一人でも多くの命を救助していきたいと思います。

【第四管区】
情報通信管理センター 情報通信課
井田 奈知世

(平成13年 海上保安学校卒)


私の仕事は無線検査の受検準備や立会い業務、旅費請求等の庶務を担当し、縁の下の力持ちのような役割を担っています。昨年、約2年の育児休業から復帰し、現在は周囲の理解のもと育児短時間勤務を活用し、仕事と育児の両立に努めています。今までで一番印象に残っている事は、卒業直後に配属された巡視船において、外国船への立入検査を行う際に船長との会話の通訳として役に立てた事です。

【第五管区】
大阪湾海上交通センター 運用管制官
谷口 彰

(平成10年 海上保安学校卒)


海上交通センターでは、船舶のふくそう海域や狭水道において、船舶が安全に航行できるよう、レーダ等により船舶の動静を監視し、VHF無線電話による情報提供や、海上交通安全法または港則法に基づいた航行管制を行っております。このような施設は全国で7箇所あり、24時間体制で海の安全を守っています。

今まで業務についていて一番嬉しかったことは、危険海域(浅瀬等)に進入しようとしていた船舶に事前に注意喚起を行い、海難を回避できた時でした。これからも、海の安全を守るため頑張っていきます。

【第六管区】
松山海上保安部 巡視艇いよざくら航海士補
丸山 将

(平成19年3月 海上保安学校卒)


瀬戸内海では、航行上注意の必要な、海苔や牡蠣の養殖施設の他、浅瀬や島が多いため、CL型巡視艇に乗船する航海士補は、これらへの可能最接近距離等を最低限把握していなければなりません。そんな海で勤務をする私には、20代の若手だろうと関係なく、操舵輪を握れば船長と略同等の責任が生まれます。

CL型巡視艇は、各人が自立心と責任を持ち、協調しなければ動かないことから、海上保安官である前に、一社会人として成長できました。

【第七管区】
福岡航空基地 整備員
塚本 陽子

(平成16年 海上保安学校卒)


航空基地の整備科職員として、重要な業務の一つである航空機の整備作業のほか、航空機用部品や技術文書の管理、海難事故防止のための啓蒙活動の資料づくりなどデスクワークも行っています。また、飛行機やヘリコプターに搭乗し、空からのパトロールにより、違反船舶の監視や取締り、国境警備、海難救助等を行っています。このように航空機の整備をはじめ、航空機の特殊性を生かした様々な業務に携わることができ、やりがいのあるとても充実した毎日です。

【第八管区】
海洋情報部 海洋調査課
畑上 高広

(平成12年 海上保安学校卒)


私は京都府舞鶴市の第八管区海上保安本部で水路測量の業務を行っており、海図の状態を最新にするため、水深の調査をしたり、海図を修正するための図面等を作成しています。また、正確に水深を測る機器は海洋情報部にしかないため、海難等で沈没した船の位置を特定するため、緊急出動することもあります。現在の仕事は結果が測量成果、調査結果として目に見えた形で残るのでやりがいがあります。

【第九管区】
新潟海上保安部 巡視艇こしかぜ航海士補
七條 美里

(平成15年 海上保安学校卒)


私は、新潟海上保安部所属の巡視艇こしかぜ航海士補として、主に海上の犯罪捜査等、様々な業務を行っています。また、私は韓国語の国際捜査官として、韓国人が乗組んでいる船舶への立入検査や犯罪捜査等も行っています。現在は、警備救難業務を行っており、緊張感を持ち、充実した日々を送っています。韓国語を維持するための勉強と捜査に関する法律の理解と毎日が勉強で、覚えることも多いですが、やりがいがあって楽しいです。この仕事がしたいという強い意志と行動があれば、いつかは希望のセクションにつくことができますが、それを影から支えてくれる多くの方々の協力があってこそのものです。良い人間関係の構築は、仕事を行う上で最も重要なものであると当庁に入庁してから学びました。

【第十管区】
鹿児島海上保安部 巡視船あかいし主計士補
迫口 実可子

(平成21年 海上保安学校卒)


私は、巡視船あかいしで、調理、庶務といった船務と、警備救難などの業務に携わっています。当庁には様々な業務があり、配属先の巡視船の業務に対応できるようにならなければなりません。私は過去にはヘリコプターから降下し、海難救助のための救難訓練を受けていたことがあり、現在は不審船対応船の乗組員として制圧術検定受検に向け、日々汗を流しています。時には厳しい環境に遭うこともありますがそれらを乗り越えた時の喜びはひとしおで毎日が充実しています。これからも男女の差なくオールマイティーな海上保安官を目指したいと思います。

【第十一管区】
巡視船くだか主任機関士
明瀬 哲也

(平成20年 海上保安大学校卒)


私は、巡視船くだかに主任機関士として乗船し、主に燃料油の管理やエンジンの整備等を担当しています。22歳で現職に着任しましたが、主任として仕事を任せられ、責任のある立場であることを実感しています。また、私は主任機関士としての仕事のほか、潜水士としても活動しており、日々の訓練なども大変ですが、とてもやりがいを感じています。

現場に出るまでは、ただ「海で活躍できる」という漠然とした思いしかありませんでしたが、現場に出て、当庁の仕事がとても幅広いことを知り、また、様々な業務を通じて、心身ともにたくましく成長していく自分の姿を実感することができ、改めて入庁して良かったと思っています。