海上保安庁では、昭和54年から女性海上保安官を採用しており、平成23年4月1日現在、543人の女性海上保安官が全国各地で活躍しています。海上保安庁の仕事は、一見、「男の仕事」というイメージがあるかもしれませんが、仕事の分野は非常に幅広く、パイロットや巡視船乗組員をはじめ、様々な分野で女性海上保安官が男性職員と同様にその能力や適正に応じて活躍しており、特に、近年は、積極的に女性職員の採用、登用の拡大を図っています。現在では、仕事と家庭の両立を支援する制度も整備されており、子育てをしながら仕事もこなす女性職員が増えています。また、平成22年4月からは、結婚や出産、育児等の理由で一度退職した職員の再採用を実施しています。
私は、平成9年3月に海上保安学校を卒業後、5年間船艇で勤務し、3年4ヶ月の間陸上で勤務した後、3年8ヶ月の間、育児のため休業しました。
育児休業から復帰後1年間は育児時間制度を使って勤務時間を短縮し、働きながらも小さい子供との大切な時間を過ごすことができました。人事異動についても夫との同一地勤務や、実家の援助を受けられる環境などにもご配慮をいただき、夫が船艇勤務で不在となることの多い生活でも働くことができています。
結婚しても子供を産んでも仕事は続けていけます。子供が小さいときは周りの人に助けてもらわないと大変なことも多いですが、やる気があれば大丈夫!!
たくさんのママさん保安官が全国で頑張って働いています。
海上保安庁では、かつて海上保安官として勤務し、結婚、出産、育児等の理由で退職した元職員(性別不問)を対象として、作文試験や面接試験、体力検査等による選考を実施し、再採用を行っています。再採用された職員は、通常の採用と異なり、当庁教育機関での訓練、教育を受けずに、そのまま勤務地へと配属されることとなります。平成22年4月の選考では9名の女性職員が再採用され、5名が陸上勤務、4名が船艇勤務として配属されました。
私は、平成21年度の再採用試験を経て、平成22年4月に巡視船「みうら」主計士補として配属され、乗船実習時における学生の指導のほか、「みうら」内の庶務や調理等の業務を行っています。
私は、平成4年に一度退職しましたが、その時の理由は、当時夜遅くまで預かってくれる保育園がなく、また、子供の面倒を見られる者が近くにいなかったということでした。そして、何とかして子供の面倒を見てもらいながら仕事を続けたとしても、子供と職場の双方に負担をかけ、結局仕事も子育ても中途半端になるのではないかという自分の思いもありました。
結局、平成4年に退職し子育ての道を選んだ訳ですが、仕事を続けたかったという気持ちは強く残っていましたので、再採用の話を聞いた時は大変嬉しく思いました。その反面、18年のブランクがあり、果たしてやっていけるのだろうかという不安もありました。
私には、海上保安庁を辞めたからこそ知った世界、できた経験があります。現在、再採用されて1年以上が経ちますが、そうした知識、経験等を活かしながら、日々の業務に励んでいるところです。